ワンチップマイコン

 

1,概要
2,ROM
3,CPU

1,概要

コンピュータを構成する上で必要なデバイスは、CPU、RAM、ROM、IOポートで
あることは前述の通りです。これらの1枚の基板上に配置したものを
ワンボードマイコンといいます
しかし、ワンボードマイコンはICのピン数が数十本あるような各種デバイスを
一つのボード上に配置する必要があるので、基盤上のパターンは非常に
複雑かつ繊細になってしまいます。

下の写真は、Z80のテストボードで、CPUとRAMのみが載っていますが
ジャンパー線の数からも、パターンが複雑であることがわかると思います。

Z80を用いたワンボードマイコン

このような複雑なものを個人が作成するのは非常に困難な上、基板も
大きなものになってしまいます。
ところが、それをワンチップのICの中に入れてしまったものが登場しました。
これが、ワンチップマイコンです。

ワンチップマイコン

上下の写真を比較すれば、圧倒的に小さくなっているのがわかると思います。
しかしこのワンチップマイコンには、CPU、RAM、ROM、IOポートまでもが
入っています。

  ワンボード ワンチップ  
大きさ 10×15cm 1.5×3cm 基板とICの大きさなので
性能 (1.5MIPS) (12MIPS) ものによって様々ですが、写真の場合
コスト 2000円 300円 ワンチップマイコンは200円台から。
ワンボードは、各デバイスごとに数百円
手間 なし ワンボードのは、基板から製作する
必要があるがワンチップは完成品

この表から見ると、圧倒的にワンチップマイコンが良いことがわかると思います。


2,AVRとPIC

現在、ワンチップマイコンは、MICROCHIP社のPICマイコンと、
ATMEL社のAVRマイコンが主流です。

PICマイコンは、比較的多くの方に利用されているマイコンです。
PICを扱った書籍やホームページも簡単に見つけることができるでしょう。
しかしPICのアーキテクチャは少し古く、操作が複雑なこともあります。

一方、AVRマイコンは最近になって登場してきたものなので
ユーザーも少なく、AVR関連の書籍やホームページも少数です。
しかし、最近のものなのでアーキテクチャも新しく、操作も簡単になっています。
さらに、1命令を4クロックで行うPICに対し、AVRは1クロックで実行するので
同周波数で比較した場合、AVRはPICより4倍も高速です。

  PIC AVR  
価格 370円〜 220円〜 秋月電子の価格です
性能 4クロック 1クロック 1命令にかかるクロック数
操作 やや煩雑 簡単 新しいのもほど簡単
情報 多い 少ない  

このように、AVRはユーザーや情報が少ないという欠点はありますが
過去の資産のない初心者は、新しく簡単なAVRマイコンを採用しました。

「AVRマイコンを採用」といいましたが、マイコンの世界では
1つのマイコンに決めると、簡単に別のマイコンに鞍替えできないという
特徴があります。なぜなら、あるマイコンに決めるとそれ専用の
ライター、ソフト、知識が必要になるからです。
選択は慎重に行いましょう。

 

ラインアップ

CPUに必要とされる能力や機能によって次のようなものがあります。

メーカ AVR PIC
型番 1200 2313 8535 Tiny26 16F84 16F873
価格 220 370 800 280 350 900
Flush 512×16 1024×16 4096×16 1024×16 1024×14 ?×14
ROM 64 128 512 128 64 ?
RAM - 128 512 128 68 ?
IOポート 15(8+7) 15(8+7) 32(8×4) 16 13(8+5) 32(8×4)
A/D - - 10bit 8CH 10bit - 10bit 4CH
UART - 1 1 - - 1
割込階層 3 10 ? 11 8 ?

メモリーの種類は、Flush、(EEP)ROM、RAMの3種類があります。
Flushはプログラムを記憶するメモリーで、1000回程度書き込みができます。
AVRが1ワード16bit、PICが14bitなのは、各マイコンの1命令の長さに
あわせたためです。ROMは、EEPROMを使用しているので
10万回の書き込みができます。ここには、電源を切っても記憶させたい値を
記録します。RAMには、一時的に記憶させたい値を入れます。
AVRの型番1200のRAMは0バイトですが、代わりにレジスタが32バイト分あります。

IOポートは、各ICとも多数持っています。実際、ICのピンの大半はIOポートに
割り当てられています。IOポートのソース、シンク電流は10〜20mAもあるので
LED程度であれば、直接制御できます。

そのほかにも、UART(シリアル通信)を使って、パソコンのRS232回線に
接続したり、A/D変換を用いてアナログを測定することもできます。


3,開発環境

それでは、実際にAVRマイコンを開発する手順について述べます。
PICマイコンでも、ほとんど同じ手順を踏みます。

 

ライター

マイコン内部にはROMがあり、ここにプログラムを書き込みます。
書き込みには、ライターという機器が必要です。
さらにライターを制御する書き込みソフトも必要です。
秋月電子では、このライターのキットを販売しているので
それを購入するといいでしょう。このキットには後述するアセンブラや、
AVRマイコンのサンプルも入っているので、これ1つで開発環境が整います。

13_aki.jpg (75024 バイト)

秋月で販売しているライターキット、AKI−AVR

 

13_aki2.jpg (47838 バイト)

完成したものをケースに組み込んだもの

 

アセンブラ

プログラマーが作成したアセンブリを機械語に変換するソフトです。
このソフトは、ATMEL社のホームページから無償でダウンロードができます。
コンパイラ、シミュレータ、デバッガ等多機能です。
英語版ですが、フォントで日本語を選択すれば、日本語のコメントも表示できます。

AVR Studio

以上で、開発環境が整いました。


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