タイトル

熱・量子

タイトル

1,熱 可逆変化と不可逆変化 熱の基本原理示強変数・示量変数
カルノー・サイクル エントロピー
2,量子 黒体放射 Plankの放射式 不確定性原理 パウリの定理

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1,熱

可逆変化と不可逆変化

可逆変化とは、逆の反応が起こせるというもとです。
「トムソンの原理」のところで「熱がすべて仕事に変わる」ということを
説明しましたが、逆に仕事をすべて熱に変えることもできるはずなので
可逆変化であるといわれます。
可逆変化であるためには、摩擦などのロスがあると成り立たなくなります。

不可逆変化はその反対で、逆の現象が起きないということです。
現実のものは摩擦やロスがあるためにほとんどが不可逆反応です。
「風船が割れる」なども不可逆変化で、逆の現象は起きません。

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熱の基本原理

ここで、高校時代に習った公式も含めて紹介します。

●熱力学の第一法則

凾t=Q−pdv

これは、「気体の得る内部エネルギーは、外部から与えられた熱量から
膨張した際に外部にした仕事を減らす」という式です。

●熱力学の第二法則

トムソンの原理とクラウジウスの原理の2つを含んだものを熱力学の第二法則といいます。

●熱機関の熱効率

熱機関の熱効率は次のように表せます。

η=Qh−Qc  Qh:高温領域から与えた熱量
  Qh  Qh    Qc:低温領域が受け取った熱量 W:仕事

これは高校でやったもので、可逆機関といえども熱効率を100%に
する事はできません。それからトムソンの原理が登場します。

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示強変数・示量変数

これは、物体の体積に比例するかしないかの区別がある。
示強変数は例えば、密度ρ、温度T、圧力Pなどで物体の体積が変化しても変わらない。
示量変数は例えば、質量M、体積V、エネルギーUなどで物体の体積に比例する。

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カルノー・サイクル

カルノー・サイクルを説明する前に、次のことを踏まえてください。

●トムソンの原理

「これは、熱がすべて仕事に変わらない」という原理です。
なぜならば、仕事は熱が高温領域から低温領域に移動するときに発生します。
だから、低温領域無くしては仕事ができないので、
熱がすべて仕事に変わるということはできません。

●クラウジウスの原理

クラウジウスの定理 トムソンの原理が成り立ってしまうとどうなるだろうか?
右の図を見てください。高温領域からQという熱量が
トムソンの原理によってすべて仕事Wにかわります。
ここで、Q=Wという関係が成り立ちます。
この仕事を利用してカルノー冷凍機を働かせます。
(カルノー冷凍機はQh=Qc+Wというエネルギーがロスしない機関)
ここでQh=Qc+WにQ=Wを代入すると
Qh−Q=Qcという関係になり、高温領域はQh−Qという熱量を
吸収し、低温領域はその分(Qc)を発散する。
つまり、低温領域から高温領域に熱が移動していることになり、
常識的にあり得ません。
この原理をクラウジウスの原理といいます。

●カルノー・サイクル

カルノーサイクル 理想気体を用いて可逆的な系で構成された熱機関です。
右図のようにA→B→C→D→Aという順番で
変化したとします。
ちなみに、A→B,C→Dは等温変化、
B→C,D→Aは断熱変化を表します。

A→Bは等温変化なのでエネルギーは変化しません。
よってQh=Wabです。
B→Cは断熱変化で熱量はありません。
よって凾tbc=Wbcです。
以下、同様にQc=Wcd<0 凾tda=Wdaです。
ところで、このサイクルで温度は元に戻っているので、
凾tda+凾tbc=0です。
このサイクルで外から与えた熱量はQh−Qcて、
外にした仕事は、Wab+Wbc+Wcd+Wda=Wに
なります。このサイクルをカルノーサイクルといいます。
サイクルを時計回りにすると外に仕事をしますが、
反対にすると冷蔵庫のようになります。
これをカルノーの冷凍機といいます。

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エントロピー

エントロピーは、Sで表せます。

dS=dQ   Q:熱量
    T    T:熱量Qを受け取った物体の熱量

つまり、エントロピーの変化量は熱量を絶対温度で割った値ということになります。

問題
太陽から発せられたQという熱量が地球に届いた。
太陽と地球のエントロピーの変化量を求めよ。
また、太陽系全体のエントロピーの変化量を求めよ。

解答
太陽は、表面温度が6000Kで、Qという熱量を失うので

− Q 
6000 と表せます。一方地球の表面温度は300Kなので

 Q 
300  と表せます。全体としては

Q/ 1   1 \
 \300 6000/  となって正の値を持ちます。

今の問題の場合不可逆変化です。
このように、不可逆変化が起きると全体としてエントロピーが増加します。
このことをエントロピー増加の法則といいます。

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2,量子

黒体放射

物体を熱していくとそのうち赤→黄→白と変化していきます。
古典力学では、この現象が説明できませんでした。
そこで、量子力学というのが誕生しました。
量子力学は、物体のエネルギーが連続ではなく
プランク定数hごとの値したとらないことが説明できます。

プランク定数h=6.6×10-34

です。この値を0にすると古典力学の式になります。

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Plankの放射式

古典力学で、放射の公式を導くと

放射の公式(古典力学)

になりますが、実は重大な欠点があります。
νが大きくなると放射エネルギーも大きくなってしまい、積分をすると
発散してしまいます。
これは、古典力学では各モードごとにkTのエネルギーが分配されているとしたためでした。
しかし、量子力学の世界ではエネルギーは不連続のため各モードごとに

量子力学でのエネルギー分配

のエネルギーを分配することになりますので、放射の公式は次のようになります。

plankの放射式

これをPlankの放射式といいます。
この式で、hを0の極限に持っていくと、古典力学の放射式になります。

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不確定性原理

ミクロの世界で原子の位置の不確かさを凾,運動量の不確かさを凾垂ニすると

凾丼凾吹h  h:プランク定数 

これを不確定性原理といいます。

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パウリの定理

原子に電子が入っていくときの順番について述べたのがパウリの定理です。
電子は自転しているのですが、そのために磁気モーメントが発生します。
それを相殺するために反対に回転する電子が必要です。
つまり、電子が2つセットではいる必要があるということです。

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