1,一般化座標 | 一般化座標・運動量 |
2,ラグランジュの方程式 | ラグランジェの方程式 オイラーの方程式 コリオリの力 |
3,正準方程式 | ハミルトンの正準方程式 ポアソンの括弧式 位相空間 |
今まで、座標に(x,y,z)を用いたり(r,θ,φ)を用いたので
座標系によって違いがありました。
それらを共通に表そうとしたのが一般化座標です。
その座標は(q1,q2,q3,・・・)になります。
これから、今まで使っていた「力」,「運動量」,「座標」を
一般化座標で表そうとするための変換公式を紹介します。
(x1,x2,・・・)の座標を一般化座標で表すと、
x1=x1(q1,q2,q3,・・・)
x2=x2(q1,q2,q3,・・・)
・
・
xn=xn(q1,q2,q3,・・・)
という関係があります。実際、x1,x2,・・・にはx,y,zやr,θ,φが入ります。
では、時間で微分する場合は
dxi=煤@∂xi dqJ dt J ∂qJ dt
になります。これから
∂xi′=∂xi ∂qj′ ∂qj
という式ができます。
一般化された力は「Q」と書きます。「q」と区別してください。
Qは次のようにして求めます。
または、
Qj=−∂U U:位置エネルギー ∂qj
これから仕事は、
このように今までの仕事の計算のようにもとまります。
一般化された運動量は次の方法でもとめられます。
T:運動エネルギー p:一般化された運動量
q→xにすると、おなじみの式になります。
ここにLを次のように定義します。
L=T−U T:運動エネルギー U:位置エネルギー
このLをラグラジアンといいます。
これをラグランジェの運動方程式といいます。
これは、今までのF=maに変わる式です。
この式の意味するものは、物体は最小のエネルギーで済むような運動をするというものです。
今までの運動方程式よりも楽に運動を解くことができます。
(x,y,z)座標では、q1=x q2=y q3=zを代入して
x,y,zについて運動方程式をつくり連立させることによって運動を解きます。
問題 ポテンシャルエネルギーがU(r)で表される平面を運動する物体の運動方程式を求めよ 解答 T=1m(r'2 + (rθ')2) 2 U=U(r) L=1m(r′2 + (rθ′)2)−U(r) 2
rについて式をたてると d /∂L \ − ∂L=0 dt\∂r′/ ∂r d(mr′) − mrθ'2 − ∂U=0 dt ∂r mr″=mrθ'2+∂U ∂r・・・・・・・・・・@ 次にθについて式をたてると d /∂L \ − ∂L=0 dt\∂θ′/ ∂θ d(mr2 θ′)=0 dt mr2 θ′=一定・・・・・・・・・・・・・A Aの左辺は角運動量に相当する。 右辺が一定になっていることから、 角運動量が保存されることがわかります。 @の左辺はf=maのmaに相当する。 だから右辺は力に相当します。 右辺第1項は遠心力に相当し、第2項はポテンシャルになっています。
以上のように、ラグランジェの方程式を使うと機械的に運動を解くことが
でき、F=maで考えるよりずっと楽になります。
もし、一般化力Qが今考えている方向に働いている場合
ラグランジェの方程式を次のようにして考えます。
d /∂ L \ − ∂L =Q dt\∂qi′/ ∂qi
つまり、右辺に一般化力Qをもってくればいいのです。
オイラーの方程式はラグランジェの方程式にそっくりです。
d /∂F \ − ∂F =0 F:力学変数 dt\∂y′/ ∂y y′=dy/dx
オイラーの方程式は物体が最小(エネルギー,時間など)で
運動するための道をもとめることができます。
したがって、ラグランジェの方程式にしたがう運動は
最小のエネルギーで運動しているといえます。
問題 A地点からB地点に行くときに最も近い道のりは? 解答 道のりI=∫ds =∫(1+y′2)1/2dx F≡(1+y′2)1/2としてオイラーの方程式に代入すると d / y′ \ = 0 dx\(1+y′2)1/2/ これを変形すると y′=一定 となります。 つまり、直線が一番近道ということです。
いま、制止している座標系(x,y,z)から
回転している座標系(X,Y,Z)に変換する場合を考えます。
x=X cosωt−Ysinωt y=X sinωt+Ycosωt z=z T=1m(x'2+y'2+z'2) 2 U=U(x,y,z) この(x,y,z)系の式に(X,Y,Z)系の式を代入し、 L=T−U でLを決定し、X,Y,Zについて ラグランジェの方程式をたてると mX″=−∂U+2mωY'+mω2X・・・・・@ ∂X mY″=−∂U−2mωX'+mω2Y・・・・・A ∂Y mZ″=−∂U ∂Z @,A式の第3項は遠心力による力で、 第2項はコリオリの力といいます。
以上の問題からコリオリの力は
2m(r′×ω)
で、定義されます。これから、コリオリの力は速度に比例し
回転速度に比例します。低気圧の回転の向きは、
これによります。
ここで、Hを次のように定義します。
H=T+U T:運動エネルギー U:位置エネルギー
このHをハミルトニアンといいます。さきほどのLと似ているので注意してください。
Hをもとめるとき、上のような式を使うのですが実際にTとUがわからないことがあります。
正式には、次の方法でもとめます。
H(q,p,t)=狽進qi′−L(q,q′,t) L:ラグラジアン i p:運動量
ここで、ラグラジアンを(q,q′,t)であらわし
ハミルトニアンが(q,p,t)で表すことに注意してください。
ハミルトニアンには次の関係があります。
dqi=∂H H:ハミルトニアン dt ∂pi p:運動量 dpi=−∂H dt ∂qi
2番目の式の右辺にマイナスがあるのに注意してください
これをハミルトンの正準方程式といいます。
[u,v]
q p は煤^∂u ∂v − ∂u ∂v \ i \∂qi ∂pi ∂pi ∂qi/
ということを定義しています。
いま、F(q,p,t)という力学変数を定義します。 これを時間tで全微分する場合を考えます。 dF=∂F+煤^∂F qi′+∂F pi′\ dt ∂t i\∂qi ∂pi / =∂F+煤^∂F ∂H −∂F ∂H \ ∂t i\∂qi ∂pi ∂pi ∂qi/ ∵正準方程式 =∂F+[F,H]q p ∂t
力学変数Fにtという変数が含まれていないと
dF=[F,H]q p dt
になります。
位相空間は、x軸をq,y軸をpにしたものが位相空間です。
一次調和振動子や箱の中を運動する物体は特徴的な形になります。
箱の中の物体が壁に衝突しながら減衰していく運動
1次調和振動子の運動