1,直流回路 | 直流抵抗・4点測定法・保護環・未知回路の近似 |
2,交流回路 | 過渡現象・交流・デシベル・伝送線 |
3,真空 | 真空の概要 |
直流抵抗は、抵抗率ρを用いて
R=ρl ρ:抵抗率 l:導体の長さ S S:導体の断面積
また、電気伝導率σは
σ=1/ρ ρ:抵抗率
で定義できます。
また、Rの逆数をとって、コンダクタンスも定義できます。
V/I=Roで定義したものを直流抵抗
dV/dI=rで定義したものを微分抵抗と言います。
抵抗の非常に小さいものを精密に計る方法です。
一般に抵抗を計ると次の誤差が生じます。
1,接触抵抗 接触させている部分の抵抗
2,接触起電力 異なる金属を接触させているために生じる起電力
3,迷走電流 測定する資料以外の部分を通ってしまう電流のこと
抵抗値が小さいとき3は無視できます。
測定の仕方は、右図を参考にしてください。
こうすることで、1の接触抵抗による起電力は、
キャンセルされ、2の接触起電力のみになります。
このときの計算式は、
R=V V:電圧 I:電流 I
で、求まります。
抵抗の非常に大きいものを精密に計る方法です。
水銀など電気伝導率の大きい液体で満たした容器のなかに試料を浮かべます。
(右図の水色が水銀、青が試料)
また、試料の中心部に電極を取り付けます。
電極を取り付けるときは、半田付けをしてもいいのですが
試料が絶縁体の場合、半田をはじいてしまうことがあります。
そこで、試料の上に円筒を乗せ、その中に水銀などを満たしてから
電極(赤の部分)を取り付けることにより、接触抵抗を小さくすることができます。
これで、抵抗を測定することができます。しかし試料の抵抗が大きい場合、
試料の表面に付いたゴミを伝って流れてくる表層電流が無視できません。
そこで、先ほどの電極の周りに環状の電極(緑の部分)を取り付け、表層電流を
電流計に流さないようにします。
こうすることで、試料内部を伝わった電流のみ、電流計に流せます。
抵抗の計算式は4点測定法と同じです。
電源にいろいろな抵抗が組み合わされている回路を簡単にする方法があります。
理想的な電源Eに抵抗Rが直列に接続していると近似する考えです。
解放電圧はEで短絡電流はE/Rです。
+−−抵抗−−・ | 電源(電圧一定) | +−−−−−−・
定電流源Iに抵抗Rが並列に接続していると近似する考えです。
解放電圧はRIで短絡電流はIです。
+−−−−−−−+−−−−・ | | 電源(電流一定) 抵抗 | | +−−−−−−−+−−−−・
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いま、コイルに抵抗を直列に接続した回路があったとする。
これに電池を接続すると、以下の方程式を満たす。
E=RI+L dI E:電池の電圧 I:電流 dt L:インダクタンス
これはIに関する微分方程式です。これを解くと
I=E/1− exp/-t \\ R\ \τL//
ここでτというのは誘導時定数です。
τ=L/Rという関係があります。
家庭に来ている電気は、たいていはAC100Vです。
しかし、その電圧を調べるとsin波になっています。
これは、最大振幅が141Vです。(つまり100*√2)
これを時間平均すると100Vになっているのです。式は
V=Vm sin(ωt) ω:角振動数 Vm:最大振幅
です。また、電流は、
I=Im sin(ωt+θ) Im:最大振幅 θ:位相(Vとのずれ)
です。この結果から電力Pが
P= 1 ∫(0→t) V I dt T:周期 T =V I cosθ V:平均電圧 I:平均電流 =Vm Im cosθ Vm:最大電圧 Im:最大電流 2
これは位相がずれていないと電力が最大になり、
逆に90°ずれる(コンデンサーなど)と電力は0になります。
このcosθを力率といいます。
インピーダンスの求め方は
Z=Vm exp(jθ) Im =R+jX R:抵抗 X:インピーダンス
この式で登場した j は虚数で、数学でいう i です。
電気の世界では電流 i と区別するために使います。
先ほどの式のRは抵抗値です。
またXはインピーダンスです。また、先ほどの式の逆数は
Y=1/Z=Im exp(-jθ) Vm =G+jB G:コンダクタンス B:サセプタンス
です。
交流電源に抵抗,コンデンサー,コイルを直列に接続した場合、
各素子に流れる電流はすべて同一になります。
回路全体に流れる電流をIとすると、各素子の両端に発生する電圧は、
抵抗 RI コンデンサー I ω:交流の角速度 ωC C:コンデンサーの容量 コイル ωLI L:コイルのインダクタンス
です。ただし、全体の電圧はこれらの合計ではありません。
それは位相が違うからです。
コンデンサーは抵抗に対して90°位相が早くコイルは90°位相が遅いからです。
従って、全体の抵抗値は
Z=R+j/ωL− 1 \ \ ωC/
になります。よって、
ガウス平面上で実数と虚数の合成ベクトルの大きさが抵抗値になります。
虚数が0のとき抵抗値が最小になります。そのようなωを
ω=1/(LC)1/2
のように定め、そのωを共振周波数といいます。
また、今の関係式をB,Gを使って書き直すと、
/G− 1 \2 + B2= 1 G:コンダクタンス \ 2R/ 4R2 B:サセプタンス
これは、ガウス平面上で虚数軸に接する円の式です。(右図参照)
ω=0では原点にあって、ωを大きくすると時計回りにYが
回っていきます。ω=ω0で実軸と交わりω=∞にすると
限りなく原点に近づきます。
交流電源に抵抗,コンデンサー,コイルを並列に接続した場合、
各素子にかかる電圧はすべて同一になります。
回路全体にかかる電圧をVとすると、各素子に流れる電流は、
抵抗 V R コンデンサー ωCV ω:交流の角速度 C:コンデンサーの容量 コイル V L:コイルのインダクタンス ωL
です。ただし、全体の電流はこれらの合計ではありません。
それは位相が違うからです。(先ほどと同じように)
コンデンサーは抵抗に対して90°位相が早くコイルは90°位相が遅いからです。
従って、全体の抵抗値は
Y=I= 1+j/ 1 − ωC\ V R \ωL /
になります。ωが先ほどのように共振周波数になっていると
Yは最小になり、電流が最小になります。これはLCR直列回路と反対です。
オーディオのアンプなどで登場する「デシベル」は入力に対して 出力がどれだけ大きいかを表したものです。
(デシベル[dB])=20 log(V2/V1) V2:出力電圧 V1:入力電圧
右図のようなものをシールド線といいます。
灰色と黄土色が、絶縁体になっています。
また、人為路と黄色のところが導体になっていて、
電気を通します。通常、銀色の部分にGND(−)をつなぎ、
黄色の部分に信号(+)を流します。
もし、交流波をこれに流すと2つの導体が向かい合っているので
コンデンサーのような役割を果たし、また、電流が
流れると次回が発生するのでコイルのような
役割も果たします。模式的にこの回路を考えると、
右図の下のようになります。
この回路の端をx=0として、Vo,Ioの電圧,電流を加えると、
xだけ離れたところの電圧,電流は、
I=Io exp(jωt±γx) V=Vo exp(jωt±γx)
演算結果に虚数が含まれているときは、実数部分だけを取り出します。
γについては、
γ=α+jβ=√(YZ) γ:伝搬係数 α:減衰定数 β:波長定数(位相定数)
と定義します。また、
/Z\=V \Y/ I
この値のことを、特性インピーダンス
といいます。
よく、テレビのケーブルは75Ωとかいいますね。
いま、ケーブルのもう一端にインピーダンスZの負荷をつけた回路を考えます。
r = V- = Z−Zo r:反射係数 Zo:ケーブルの負荷 V+ Z+Zo Z:負荷のインピーダンス
もし、Z=Zoならば反射係数は0になり、負荷とケーブルは整合しているといいます。
真空といっても、完全な真空だと分子がなにもないので考えても意味がありません。
ここでは空気が希薄な状態を考えます。
気圧の単位はTorrを使います。 760Torrは1気圧で、水銀柱が760mmの高さになります。
粘性流とは圧力が高い状態で、約1Torr以上の状態をいいます。
気体分子はほかの分子と多数衝突して気体の粘性の原因になります。
分子流は気圧が低い状態で、約0.01Torr以下をいいます。
気体分子は主に壁に衝突して、気体の粘性の原因になります。
0.01〜1Torrの粘性とも分子流ともいえない状態を中間領域といいます。
平均自由行程λは、次のように定義されています。
λ= 1 n:分子の密度 √2 nπr2 r:分子の半径
これは、ある分子が衝突してから別の分子に衝突するまでに動く距離です。
気圧を低くしていくとnが小さくなっていくためλは大きくなります。