1,原理 |
2,装置 |
3,結果 |
4,考察・まとめ |
この実験では、主に宇宙線の数をカウントしていきます。
従って、実験そのものより原理を中心に解説します。
宇宙線とは放射線の一種で、高速に移動する粒子です。
エネルギーは、109〜1019 eVという大きな幅があります。
この宇宙線が地球に降り注ぐ場合、10mの水の厚さに相当する1kg/cm2
の大気があります。そのため大気中の原子と相互反応を起こすため地上では、
反応後に発生した2次宇宙線を観測することになります。
高エネルギーの宇宙線が次々と相互反応を起こしてエネルギーを失っていく過程を
「カスケードプロセス」といいます。
相互作用のため、地上で観測される宇宙線の大部分は電子かμ粒子です。
通常、地上では1.14×10-2 [cm2・sec・sr] の
宇宙線が降り注いでいます。
これは、1cm2の地上に平行な平面を1分間に1個の
宇宙線が通っていることになります。
ステラジアン「sr」は、ラジアン「rad」と同じ角度に関する単位です。
半径rの球の中心を頂点として表面にr2の面積を持つ
円錐を考えます。このとき、立体角は
立体角[sr]=円錐球面の面積 (半径)2
です。球の立体角は、
4πr2 = 4π r2
で、4π[sr]とわかります。
宇宙線が物質と相互作用を起こすと弱い光を出します。
これを光電増倍管を使って、1011倍に増幅します。
・シンチレーションカウンター(光電倍増管) 2本 ・高圧電源供給源(千数百ボルト) ・アンプ 2個 ・ディスクリミネーター 2個 ・同時計数回路 1個 ・カウンター 1個
回路図は、右のようになります。
2本の検出部があり、増幅した信号のうちあるレベルを
超えた信号だけ次の同時計数回路に伝わります。
同時計数回路は、2つの信号が同時に来たときに信号を出します。
(いわば、AND回路のような働き)
最後にカウンターで測定できます。
このカウンターでカウントされるものは、2つのシンチレーションカウンターを
通過したものなので、方向がわかります。
シンチレーションカウンターを上下におきます。
これで、上から下に通過する宇宙線を感知できます。
この上に鉛をx「cm」つみ、そのときの20分間のカウントを記録します。
ただ宇宙線は時間によっても変動するので、鉛を厚くしたのに
カウントが増えるをいうことがおきることもあります。
また、ノイズ信号を除去するために、2つのシンチレータを
十分離した状態でも観測します。
本来はカウントされないので、カウントされたものはノイズなので
実験データからこの分を引きます。
右図のように観測点の誤差は大きいのですが
徐々に下がっていくのがわかります。
それは、指数関数になっているので
semilogグラフにプロットすると直線上になります。