1,原理 |
2,装置 |
3,方法 |
4,結果 |
5,考察・まとめ |
6,おまけ |
超伝導物質、YBa2Cu3O7-yは、絶対温度90K以下で
超伝導状態になります。
しかし超伝導状態になるためには、温度以外にも要素もあります。
外部磁場が一定の値以下で超伝導体を流れる電流が一定の値以下である必要があります。
ここでは、超伝導でいられる最大の電流、「臨界電流」を測定することにします。
超伝導状態が崩れることを「クェンチ」といいます。
なお、超伝導の詳しいことは超伝導(15KB)(最新物理のページ)をご覧ください。
装置は、77[k]の液体窒素に浸かっています。
図では灰色になっている超伝導体の抵抗を4端子法で測定します。
測定の精度を高めるために電流を「順」「逆」両方流してみて
その結果から計算して求めます。
計算は次のようになります。
順方向ではかったときの電圧をVa、逆方向をVbとすると実際の電圧は Va−Vb 2
要するに平均値をとるのですが「−」は片方の符号を変えるためのものです。
この状態では液体窒素の温度でしか計れないので
ヒーターを使って徐々に温度を上げていきます。
温度の測定は「熱電対」を使います。
そのため、この図には載っていないのですが、温度比較用の
氷水(273K)に熱電対の片方を浸ける必要があります。
超伝導物質は以下のように作ります。
Y2O3 0.302g BaCO3 1.058g CuO 0.640g
これは、超伝導物質を計2g作るための量です。
まず、今の物質を混合します。
これは、1時間以上も混合する必要があります。
これは、物質間でむらを作らないようにするためです。
混合する際にはほかの不純物が入らないように細心の注意をしてください。
混合物質はアルミナのボートに押し固めます。
そして、炉で焼きます。温度変化は次のようになります。
室温 | |
↓ | 1h |
930度 | 20h |
↓ | 炉冷(自然冷却) |
室温 |
仮焼きした後の物質を取り出し電気抵抗を測定する。抵抗が5〜10Ωであれば成功です。
(電気抵抗はかなり幅があります。大きくても100Ω以下ならOK)
仮焼き1をしたものは、再びくずして混合します。
その後再び仮焼き2をします。温度条件は仮焼き1と同じです。
これを押しつぶして、再び混合して粉末状にします。
そして0.5gずつに分けてペレット状にします。
それを、プレス機で150〜200気圧で5分間放置します。
その後に本焼きに入ります。
仮焼きのときと同じようにペレットをボートにセットします。
時間は次のようになります。
室温 | |
↓ | 1h |
930度 | 12h |
↓ | 15h |
400度 | 20h |
↓ | 炉冷(自然冷却) |
室温 |
できあがった超伝導体を液体窒素で77Kまで冷やします。
そして磁石の上に置くと磁石から3〜4mmの位置に浮上しました。
これから超伝導状態の特徴である「マイスナー効果」が確認できました。
超伝導になる温度Tcの測定はヒーターの温度を上げながら抵抗を測定しました。
定電流源を使って110mAまで測定したが、超伝導状態は続いていた。
(温度は、液体窒素温度 77K)
Tcの測定結果から熱電対が−5.40mVになったあたりから超伝導状態が
崩れていることがわかります。このときの温度は93Kでした。
よって、Tcは93Kということになります。
110mA以上は測定器の限界で測定できませんでした。
よって、臨界電流は110mA以上だということがわかりました。
以下のものは超伝導実験中の写真です。
(40KB)
完成した超伝導物質です。
重さは0.5g。堅くてもろい性質を持っています。
マイスナー効果で磁石の上に浮いている写真は撮りそこないました。
(44KB)
手前の左側の装置内に液体窒素が満たされています。(ふちに霜がついています。)
右側の装置には氷水が入っています。
その中には熱電対のもう片方が入っています。
(21KB)
これは、液体窒素に浸けている部分の回路です。(正確には、試験管の中)
上がヒーター部分。
右の先端部は、黒い超伝導物質を白い銀ペーストでとめたものです。
測定には4端子法を用いています。
左のものは比較校正用の100Ωの抵抗です。