1,大学卒業後の進路 |
2,入試情報 |
3,入試対策 |
大学を卒業してからの進路は、主に就職と進学の2通りになります。
文系の場合、進学というのはまれで、進学したとしても大学の先生などになるしかないようです。
このため文系のほとんどは就職します。
理系の場合は就職組と進学組にほぼ2分します。
理系の場合、就職は文系よりも有利なことが多いのですが、研究系の業種に就きたい場合は
大学院卒業が就職の条件であることが結構あります。
大学院に進学すると、修士課程の場合2年間、博士課程の場合は5年間在籍します。
ほとんどの場合は修士課程に進学して、就職になります。
就職は,学部卒と比べて有利なことが多く、研究系の業種に就くこともできます。
また、就職活動も学部卒と比べて多少楽です。
また、推薦ですんなりと決めることもできます。
大学院には、修士課程と博士課程の2種類があります。
表に簡単にまとめてみました。
修士課程 | 博士課程 | |
履修年数(標準) | 2年間 | 5年間 (修士課程の2年+博士課程の3年) |
学位 | 修士 | 博士 |
内容 | 研究者としての考え方や、指導者と 協力して研究ができるようになることを 目的とする。講義+研究中心 |
実際に一人の研究者として研究ができるように なることが目的。研究中心 |
卒業要件 | 卒業試験のパス + 30単位取得 + 研究論文の認定 |
博士課程が5年といっても、前半の2年は修士課程とまったく同じです。
そのため、博士課程を、博士課程前期(=修士課程)+博士課程後期という表現を
使うこともあります。
就職か進学かということは、3年の冬の時期には決めておく必要があります。
大学院入試での失敗というリスクがあるので両方掛け持ちをしたいところですが
実際にはかなり大変で,どっちつかずの状態になることだけは避けなければなりません。
次に、大学院に入るまでのスケジュールを作ってみました。
日程 | 進学 | 就職 |
3年 12月 | 就職か進学かの決定 | |
1月 | 資料請求はがきを書き始める | |
3月 | 会社説明会が始まる | |
4年 4月 | 院試の勉強をはじめる | |
5月 | 面接など | |
6月 | 志望要項などを手に入れる | そろそろ内定が出始める |
7月 | 私立の一部はこのころ試験 願書の提出 |
|
8月 | 月末あたりから試験のピーク | 内定が決まった人は遊んでいる |
9月 | 初旬に試験が多い 合格発表 |
このように、就職では6月が活動のピークになります。
進学組みは4月には試験勉強を開始して、7月には願書の提出、9月に試験というパターンが
多いようです。
以下のデータは、私が受験した年(平成11年度入試)の
東京都立大学大学院理学研究科 物理学専攻修士課程の
入学試験のデータです。
ほかの大学院でも、共通の部分が多いので、都立大の例を中心に解説します。
試験の日程は、2日間になります。試験科目は次のようになります。
日程 | 科目 | 時間 | 大問数 | 配点(推測) |
9月2日 | 数学 | 9:00〜10:00 (60分) | 2題 | 50点 |
物理1 | 11:00〜12:40 (100分) | 2題 | 100点 | |
物理2 | 13:40〜16:40 (180分) | 6題中3題選択 | 150点 | |
9月3日 | 英語 | 9:00〜10:00 (60分) | 2題 | 50点 |
出題は数学のさまざまな問題が出ます。
複素数や、フーリエ変換、Green関数などでます。
物理1では、物理の基礎となる力学と電磁気学が必修です。
大問別で,次のようになります。
[1] | 力学 |
[2] | 電磁気学 |
内容的には、定期テストで出題されたようなものが出ました。
問題は6題あり、そのうち3題を選択します。
内容は毎年次のようになっています。
[1] | 量子力学1 |
[2] | 熱・統計力学 |
[3] | 量子力学2 |
[4] | 物性物理学 |
[5] | 実験(1) |
[6] | 実験(2) |
このうち、[5][6]の「実験」は、実験に関することを
説明や計算するような問題が多いです。
一般に、理論系の研究室を目指している人は、1〜3を、
実験系を目指している人は4〜6を選択する人が多いです。
大問は2題あります。
1題目は長文問題で、和訳問題、意味説明問題、空所補充問題が中心です。
2題目は英訳問題的なものが中心で、整除問題、意味説明などが中心です。
今回の入試では、1題目に電磁石を利用した近未来の乗り物について、
2題目にはAIDSについての英訳問題が出題されました。
東京都立大学大学院 理学研究科 物理学専攻では、1次試験(筆記)と、
2次試験(面接)があります。たいていの場合,合否は1次試験で決まります。
1999年度入試の場合次のような流れになりました。
8月7〜13日 | 願書提出 |
9月2日 | 1次試験(1日目) |
3日 | 1次試験(2日目) |
3日 19:00 | 1次試験合格者発表 |
4日 | 2次試験 |
11日 14:00 | 最終合格者発表 |
合格発表は試験から1週間後に行われますが、実際には1次試験合格者発表
のときにほとんど決まってしまいます。
今回の入試では、定員30名に対し、受験者が約100名、実際に受験した人が約75人、
1次試験合格者が42人、最終合格者が38人でした。
1次試験の合否は、試験の正答率が30〜50%程度のところがボーダーといわれています。
このボーダーは外部生は不利になるということは無く、一律に決まります。
ボーダーライン一般に高校や大学の入試では,60%がボーダーラインといわれています。 しかし実際には、70%を目標にすべきだと思います。 |
2次試験は面接です。
聞かれる内容としては,「なぜ大学院に行くのか?」「何を研究したいのか?」という
ものや、試験の結果、内容について聞かれることがあります。
2次試験は、やはり内部生が有利になります。
しかし、ここで落とされるのは数名で1次試験の合格者発表のときに
要注意者は印が付いています。
そして,1週間後に合格者が発表されます。
数学 | 50点 |
物理1 | 100点 |
物理2 | 150点 |
英語 | 50点 |
このように、専門科目の配点が7割を占めるので,
専門科目を中心に勉強すべきです。
合否は専門科目の出来で決まるといっても過言ではありません。
なお、さすがに数学が0点という点数を取るとだめです。
(配点は、あくまでも推測)
受験勉強は,たいていの場合4月からはじめます。
ただ、大学院の受験勉強といっても、受験用の問題集などはほとんどありません。
しかし、出題されるのは授業で習ったことがほとんどなので,授業で使った
テキストやノートを見れば済みます。
そして、最も重要なのが過去問です。
過去問をやることで出題傾向などがつかめ、勉強にもなります。
また、出題される内容は既に勉強しているはずなのでできるはずです。
できない分野があったら,それを教科書やノートで勉強するのが最も効率がよいそうです。
過去問は、最低5年分は集めましょう。
なお、解答はついてこないことがほとんどです。
解答は自分で考えるというのが鉄則のようです。
なお、全国の過去問を集めた問題集があります。(もちろん解答付き)
タイトル:演習 大学院入試問題集 物理学1 ページ:325 出版社:サイエンス社 ISBN:4-7819-0662-1 価格 :2900円 + 税
これ以外にも「物理学2」「数学1」「数学2」「語学」などがあります。
この本は結構有名で,研究室に置いてあることが多いです。
実際に必要なのは、「物理1」と「物理2」だけで十分だと思います。