1,行列式 | 行列諸定理 行列式の計算 逆行列 連立方程式 |
2,ベクトル空間 | 次元 特殊な行列 正規直交系 |
3,対角化 | トレース 固有値 相似 対角化 |
大学では、行列をm×n行列で考えます。
ただし、計算方法はあまり変わりません。
問題 /1 2\ /−1 2\ | 3 4 |+| 3 4 | \5 6/ \ 0 3/ 解答 /0 4\ | 6 8 | \5 9/ 問題 /0 4\ / 1 2 3\ | 6 8 |\−2 0 1/ \5 9/ 解答 / −8 0 4\ | −10 12 24 | \−13 10 24/
転置行列は、行の成分と列の成分を入れ替えたものです。
t/0 4\ /0 6 5\ | 6 8 |=\4 8 9/ \5 9/ t(AB)=tBtA
行列を、||で囲ってあるものがある。これは行列式と呼ばれるもので
計算結果はスカラーになる。計算は左上から右下にかけたものをたし、
左下から右上にかけたものをひく。
問題 |2 3 4| |1−2 3| |0 2 0| の行列式の値を求めよ 解答 {2・(−2)・0}+{1・2・4}+{0・3・3} −{0・(−2)・4}−{1・3・0}−{2・2・3} =8−12=−4
ところがこの行列の計算方法は、正方行列の中でも2行2列か3行3列でしか使えません。
そこで、工夫して計算する必要があります。
次のような変換を行(列)基本変形といいます。
これは、ある列(行)が1カ所を除いてすべて0の場合にできます。
|4 0 0 0| |1−2 3 2| |−2 3 2| |3 2−1 3|=4| 2−1 3| |2−1−2 2| |−1−2 2|
これは、特定の列(行)の共通因数は外に出せます。
|1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 2 3 4| |2 4 6 8|=2|1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 2 3 4|
このように特定の列(行)の成分を2つの行列式に分けることができます。
|1 2 3 4 | |1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 2 3 4 | |1 2 3 4| |1 2 3 4| |1+1 2+1 3+1 4+1|=|1 2 3 4|+ |1 1 1 1| |1 2 3 4 | |1 2 3 4| |1 2 3 4|
ここで注意したいのがi列(行)とj列(行)を交換したとき変換後の行列式を
(−1)倍するということです。(交換したら符号を入れ替える)
|1 2 3 4| |1 4 3 2| |1 2 3 4| |1 4 3 2| |1 2 3 4|=−|1 4 3 2| |1 2 3 4| |1 4 3 2|
このようにある行(列)のA倍を別の行(列)に加えても行列式の値は変化しない
|1 2 3 4| |1 2 3 4 | |1 2 3 4| |1 2 3 4 | |1 2 3 4|=|1+2 2+4 3+6 4+8| |1 2 3 4| |1 2 3 4 |
以上(1)〜(5)を使えば、いかなる行列式も計算できます。
一般にAの行列式を計算するとき det(A) (デターミナントA)とかきます。
det(AB)=det(A)det(B)
という性質があります。
逆行列を持つ行列を正則といいます。
行列Aの逆行列はA-1で表します。また、
(AB)-1=B-1A-1
という性質があり、転置と同じです。
逆行列はチルダを用いて計算する方法がありますが、
ここではもっと簡単に計算できす方法を紹介します。
それは、行列の右に同じサイズの正方行列を書き行基本変形をすることで
求める方法です。但し、列基本変形はできないので注意してください。
/1 0 2|1 0 0\ /1 0 2| 1 0 0\ | 0 1−2|0 1 0 |=| 0 1−2| 0 1 0 | \1 0 1|0 0 1/ \0 0−1|−1 0 1/ /1 0 2|1 0 0\ /1 0 0|−1 0 2\ | 0 1−2|0 1 0 |=| 0 1 0| 2 1−2 | \0 0 1|1 0−1/ \0 0 1| 1 0−1/ /−1 0 2\ よって、逆行列は| 2 1−2 | \ 1 0−1/
a−b−2c +d=2 b+2c−3d=1 2a +c +d=−1 a+b +c +d=0 これを行列にすると /1−1−2 1\ /a\ / 2\ | 0 1 2−3 || b | | 1 | | 2 0 1 1 || c |=| −1 | \1 1 1 1/ \d/ \ 0/ まず、行列式を求める |1−1−2 1| |1−1−2 1| |0 1 2−3| |0 1 2−3| |1 2−3| |2 0 1 1|=|0 2 5−1|=|2 5−1| |1 1 1 1| |0 2 3 0| |2 3 0| |1 2−3| =|0 1 5|=| 1 5|=6−(−5)=11 |0−1 6| |−1 6| 次にaを求めるaは1番目の変数なので1列目の行列式と値を入れ替えると | 2−1−2 1| |−1 0 1 1| | 1 1 2−3| | 1 1 2−3| |−1 0 1 1|=−| 2−1−2 1| | 0 1 1 1| | 0 1 1 1| |−1 0 1 1| | 0 1 3−2| | 1 3−2| −| 0−1 0 3|=|−1 0 3|=(2+9)−(−3+3)=11 | 0 1 1 1| | 1 1 1| a=11/11=1 同様にb,c,dをもとめる a=1 b=2 c=−2 d=−1
以上の最初の式をAx=Bとおく。計算は、最初にAの行列式の値(≡C)を求ました。
次に最初の変数だったら1番目の列とBを入れ替え、その行列式(≡D)を計算ました。
すると最初の変数の値はD/Cを計算すれば求まります。
高等学校では平面上で一次独立な(0でなくお互い平行ではない)ベクトルが2つあれば
他の如何なるベクトルでもその2つのベクトルを使って表せることは勉強しました。
n次元の空間ではn個の一次独立なベクトルがあればあらゆるベクトルを表すことができます。
いまn個のベクトルがあった場合、果たしてそのベクトルでn次元を表せるのか計算する方法があります。
a=(1,2, 3, 4) b=(1,0,−1, 2) c=(0,1, 0,−1) d=(2,0,−2, 4) |1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 2 3 4| |1 0−1 2| |0−2−4−2| |0 1 2 1| |0 1 0−1|=|0 1 0−1|=−2|0 1 0−1| |2 0−2 4| |0−4−8−4| |0−4−8−4| |1 2 3 4| |1 2 3 4| |0 1 2 1| |0 1 2 1| −2|0 0−2−2|=4|0 0 1 1| |0−4−8−4| |0 0 0 0|
このように行基本変形をする。すると左上から右下に
1が登場する(登場させた)。この数が次元を表す。今回は3つなので
次元が3とわかる
AT
は共役とは複素数の範囲まで考えたときに意味を持ちます。
例えばa=2+3iの時、aの共役は2−3iです。
AT A=I I:単位行列
これを満たしている行列Aを直行行列といいます。
At = A
これを満たす行列AをHermite(エルミット)行列といいます。
At = −A
これを満たす行列Aを反エルミット行列といいます。
At A=I I:単位行列
これを満たしている行列Aをユニタリー行列といいます。
ベクトルe1,e2,e3があり、
|e1|=|e2|=|e3|=1 (e1,e2)=(e2,e3)=(e3,e1)=0
のときe1,e2,e3は正規直交基であるといいます。
デカルト座標では、(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)が正規直交基で、
大きさが1,互いに直交しています。
今、a1,a2,a3,・・・anから正規直交基を考えます。
bs=as−(i=1→s-1)(as,ai)ai ai2 cs= bs |bs|
このc1c2c3・・・cnが正規直交基になります。
問題 a1=(1,0,−1) a2=(0,−1,0) a3=(2,0,1) から正規直交基を求めよ 解答 b1=a1 c1=1/√2(1,0,−1) b2=a2−(a2,a1)a1=(0,−1,0) 2 c2=(0,−1,0) b3=a3−(a3,a1)a1−(a3,a2)a2=1/2(3,1,2) 2 1 c3=1/√2(1,0,1) よって、c1=1/√2(1,0,-1) c2=(0,-1,0) c3=1/√2(1,0,1)
Tr A は、「Aのトレース」といいます。
これは、行列の対角成分をたし合わせるということを表しています。
問題 /1−1−2 1\ A=| 0−3 2−3 | | 2 0 2 1 | \1 1 1 1/ のとき、Tr Aを求めよ。 解答 Tr A=1+(−3)+2+1=1
Tr(AB)=Tr(BA)
という関係もあります。
固有値,固有ベクトルは、
Ax=λx
とおいたときλが固有値で、xが固有ベクトルです。
具体的に問題を解きながら説明します。
/2 −6 6\ |2−λ −6 6 | | 3 −7 6 | について| 3 −7−λ 6 |=0 \3 −6 5/ | 3 −6 5−λ| f(λ)=−λ3+3λ+2=0 λ=−1,−1,2
このf(λ)を固有多項式、f(λ)=0を固有方程式といいます。
この式を解くと、λ=−1で重複度が2、λ=2で重複度が1です。
λ=−1のとき /3 −6 6\ /x\ /x\ /2y+2z\ | 3 −6 6 || y |=0 | y |=| y | \3 −6 6/ \z/ \z/ \ z / λ=2のとき /0 −6 6\ /x\ /x\ /x\ | 3 −9 6 || y |=0 | y |=| x | \3 −6 3/ \z/ \z/ \x/
ここで、λの重複度と固有ベクトルの次元が一致しているので対角化できます。
B=Q-1AQ
という関係が成り立っているとき、AとBは相似であるといいます。
そのとき、AとBの固有方程式,固有値は一致します。
また、この変換を相似変換といいます。
Aをn次の正方行列とするとき、行列Aが対角化できるための条件は、
@Aの固有値λとそれに属する固有ベクトルの次元が一致する
An個の一次独立な固有ベクトルが存在する。
のどちらかを満たすとき、対角化できます。
Aが対称行列のとき、ある直交行列Pで
/λ1 0\ P-1AP=| ・ | | ・ | \0 λn/
と対角化できます。
問題 A=/ cosθ -sinθ\ \-sinθ cosθ/ を対角化せよ 解答 固有値λ=sinθ+cosθ,-sinθ+cosθ なので / sinθ+cosθ 0 \ \ 0 -sinθ+cosθ/
対称行列Aに属する固有ベクトルどうしは直交します。
もし、固有ベクトルの次元がn(n>1)のときは、n個の
一次独立なベクトルをつくり、正規直交化します。
それが直交行列の列成分になってます。
問題 /0 1 1\ A=| 1 0 1 | を対角化する直交行列Bを求めよ \1 1 0/ 解答 f(λ)=−λ3+3λ+2=0 λ=−1,−1,2 λ=−1のとき固有ベクトルはx+y+z=0なので、 互いに一次独立なベクトルを(1,−1,0)と(0,−1,1) 正規直交化すると1/√2(1,−1,0) 1/√2(0,−1,1) λ=2のときのベクトルを(1,1,1)とする 正規直交化すると1/√3(1,1,1) よって / √3 0 √2\ B=1/√6| −√3 −√3 √2 | \ 0 √3 √2/
AtA=AAt
この関係が成り立っているとき、Aは正規行列であるといいます。
正規行列はAはユニタリー行列Uによって対角化できます。
/λ1 0\ U-1AU=| ・ | | ・ | \0 λn/