タイトル

応用数学概説

タイトル

1,微分方程式 2階斉次微分方程式  完全微分方程式  2階非斉次微分方程式
2,ラプラス変換 基本法則  ガンマ関数
3,フーリエ解析 基本法則  偶関数・奇関数  複素数のフーリエ解析
4,直交関数 基本法則

葉

1,微分方程式

2階斉次微分方程式

斉次とは右辺が0になっているということである。
ax″+bx′+c=0 において解をα,βとおく(α+β=−b/a  αβ=c/a)
と、判別式によってx(t)の式がかわる
1,D>0 x(t)=A exp(αt) + B exp(βt)
2,D=0 x(t)=(A+Bt)exp(αt)
3,D<0 x(t)=C exp((α+β)/2) cos ((α-β)t/2i + θ)
但し、A,B,C は任意

問題
y″−4y′ +3y=0 の方程式を解け

解答
2−4x+3=0 とおくとx=1,3 D=4−3>0なので
x(t)=A exp(t) + B exp(3t)

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完全微分方程式

f(x,y)dx+g(x,y)dy=0 において∂f/∂y=∂g/∂x が成り立っているとき完全微分形であるという。
すると、u(x,y)=C となるような u が存在し u=∫f(x,y)dx=∫g(x,y)dy が成り立つ
例題
(x2+y)dx + (y2+x)dy = 0 を説け

解答
f=x2+y g=y2+x とすると∂f/∂y=∂g/∂x=1 なので完全微分形である
u=∫f(x,y)dx=x3/3 + xy + h(y)
g(x,y)=∂u/∂y=x + h′(y) = x + y2
h(y)=y3/3 + C (Cは積分定数)
よって u = x3/3 + xy + y3/3 + c

ボーダー

2階非斉次微分方程式

斉次とは右辺が0になっていないということである。
この場合どのように計算するかというと、まず右辺を0として斉次微分方程式として解きます。
(つまり、さっきの方法で解く)計算した答えは一般解といいます。

次に、適当な整式を微分方程式に代入して左辺=右辺になるように変数を調整します。
しかし、そんな簡単に適当な整式が見つかるわけがありません。その整式の求め方は
後ほど解説するとして、とりあえず適当な整式が求まったとします。その解を特別解といいます。
そして、

解=一般解+特別解

と、なります。
さらに、重要なことに微分方程式の解が複数あったとき、それらの和を答えとします。
これを重ね合わせの原理といいます。以上をまとめると

解=一般解(1)+一般解(2)+・・・+特別解

問題
y″+y=0 のときy(t)を求めよ

解答
y″=−y なので今までの経験から y=Asin(t+α)
しかし、もう一つ解があり y=Bcos(t+β)
したがって、重ね合わせの原理より y=Asin(t+α)+Bcos(t+β)

さて、先ほどの予告通り特別解のもとめ方を解説します。
特別解は、右辺にどのような整式がきているかによって異なります。
ところで一般解の α,β が特別解の変数に一致する場合、xをかける必要があります。

(1)右辺がexp(cx)に比例する

特別解はαexp(cx)となります。これを実際に代入して α と c を決定します。
 α,β がcと一致した場合、特別解はαx exp(cx)となります。

問題
y″−4y′ +3y=2exp(2x)
一般解は、 y(t)=A exp(t) + B exp(3t) となります。
特別解は、右辺がexp(cx)に比例し α,β が2と一致しないので
αexp(2x) です。これを微分方程式に代入すると
{4α − 8α + 3α}exp(2x) = 2exp(2x)
α = −2
特別解は−2exp(2x) です。
よって、解はy(t)=A exp(t) + B exp(3t) -2exp(2x)

問題
y″−4y′ +3y= 2exp(3x)
一般解は、 y(t)=A exp(t) + B exp(3t) となります。
特別解は、右辺がexp(cx)に比例し α,β が3と一致するのでαx exp(3x) です。
y′= αexp(3x) + 3αx exp(3x)
y″= 6αexp(3x) + 9αx exp(3x)
これを微分方程式に代入すると
{6α + 9αx −4α − 12αx + 3αx}exp(3x) = 2exp(3x)
2α = 2
α = 1
特別解はx exp(2x) です。
よって、解はy(t)=A exp(t) + B exp(3t) + x exp(2x)

(2)右辺が多項式

多項式の最高次数がnの場合、特別解もn次の多項式を作って計算します。
ところが、一般解の α,β が0を解にもつ場合、多項式全体にxかx2
かける必要がある

問題
y″−4y′ +3y = 3 x2 − 2x + 3
一般解は、 y(t)=A exp(t) + B exp(3t) となります。
特別解は、右辺が2次の多項式で α,β が0でないので
ax2 + bx + c です。これを微分方程式に代入すると
2a − 4(2ax+b)+ 3(ax2+bx+c) =3x2−2x+3
3ax2+(−8a+3b)x+ (2a−4b+3c)=3x2−2x+3
これは、xについての恒等式となるので
/3a=3
|−8a+3b=−2
\2a−4b+3c=3
a=1 b=2 c=3
特別解は x2+2x+3 です。
よって、解はy(t)=A exp(t) + B exp(3t) + x2+2x+3

問題
y″+y′= 2x−3
一般解は、 y(t)=A exp(-t) + Bとなります。
特別解は、右辺が2次の多項式で α,βのうち一方が0なのでx(ax2+bx+c)です。
y′= 3ax2+2bx+c
y″= 6ax+2b
これを微分方程式に代入すると
(6ax+2b)+(3ax2+2bx+c)= 2x−3
これも、先ほどのように恒等式になるので
3a=0
6a+2b=2
2b+c=−3
a=0 , b=1 , c=−5
特別解はx(x−5)です。
よって、解はy(t)=A exp(-t) + B+x(x−5)

(3)右辺がp(x)exp(cx)

p(x)の最高次数がnの場合、特別解もn次の多項式をつくって計算します。
特別解は(<n次の多項式>)exp(cx)になります。一般解の α,β が c を解にもつ場合
xやx2を特別解にかける必要がある。

(4)右辺がcosωx , sinωxの一次結合

特別解は a cosωx + b sinωxで、一般解の α,β が ±iω を解にもつ場合
この式にxをかける必要がある。
問題
y″+9y=6 sin3x を解け

解答
特性方程式の解が、±3iのため通常の特別解にxをかける。
するとx( acos3x + bsin3x )
代入すると 6( b cos3x − a sin3x )=6sin3x
6bcos3x=0  −6asin3x=6sin3x
b=0 a=−1
特別解はx(-cos3x)=−xcos3xとわかった。
一般解は、Asin3x+Bcos3xなので
解は、Asin3x+Bcos3x−xcos3x

(5)右辺がexp(cx)cosωx , exp(cx)sinωxの一次結合

特別解は exp(cx)(a cosωx + b sinωx)で、一般解の α,β が c±iω を解にもつ場合
この式にxをかける必要がある。

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2,ラプラス変換

基本法則

F(s)=∫0-st f(t) dt 

この変換をLという記号(ラプラス)を使って

L: f→F

というようにかけます。この変換をラプラス変換といいます。
ラプラス変換は、線形なので、

L(af(t)+bg(t))=a(f(t))+b(g(t))

になります。

問題
L(tn)を計算せよ

解答
L(tn)=  n! 
      sn+1

●第一移動法則

L(exp(-at) tn)= n! 
          (s+a)n+1

先ほどの問題のsがs+aになっただけです。

●公式のまとめ

L{e-at tn}= n! 
        (s+a)n+1

L{sin(bt) e-at}=   b   
             (s+a)2+b2

L{cos(bt) e-at}=  s+a  
             (s+a)2+b2

L{sinh(bt) e-at}=   b   
              (s+a)2−b2

L{cosh(bt) e-at}=  s+a  
              (s+a)2−b2

●導関数への応用

L[f′(t)]=s L[f(t)]−f(0)
問題
y″+2y′−3y=0を解け  y(0)=0  y′(0)=1

解答
L[f″(t)]=s2 L[f(t)]−s f(0) − f′(0)
L[f′(t)]=s L[f(t)]−f(0)
0=L[y″]+2L[y′]−3L[y]
初期条件と上2つの式を最後の式に代入すると
(s2+2s-3)L=1
L[y]=  −1    1  
     4(s+3) 4(s−1)
それぞれに逆ラプラシアンを求めればyが求まります。
y=−exp(-3t) + exp(t)
   4       4

●逆ラプラシアン

以下に覚えるべき逆ラプラシアンの公式を書き出します。

-1 n!\=e-at tn
  \(s+a)n/

L-1  s+a \=e-at cos(bt)
  \(s+a)2+b2/

L-1  b   \=e-at sin(bt)
  \(s+a)2+b2

要するに、ラプラス変換の公式の逆をすればいいのです。

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ガンマ関数

Γ=∫(0→∽)exp(-t) t(x-1) dt 
で定義される関数がガンマ関数である。以下に特徴をまとめた。
Γ(x+1)=xΓ(x)
Γ(x+1)=n!

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3,フーリエ解析

基本法則

今まで、微分可能なあらゆる関数はテイラー展開できた。
これと似たものにフーリエ解析がある。これは、sinとcosで
周期2πの関数をあらわそうとするものだ。式は、

f(x)=ao+(n=1→∽){an cos(nx) + bn sin(nx)}
   2

さらに次の5つの式を覚えてほしい

∫(-π→π)cos nx dx=∫(-π→π)sin nx dx= 0
∫(-π→π)cos mx sin nx dx=0
∫(-π→π)cos mx cos nx dx=0  (m≠n)
∫(-π→π)sin mx sin nx dx=0  (m≠n)
∫(-π→π)cos nx2 dx=∫(-π→π)sin nx2 dx=π

フーリエ変換のところに登場した an や bn という数列を 求める式があります。

an=  ∫(-π→π)f(t) cosnt dt (n=0,1,2,,)
   π

bn=  ∫(-π→π)f(t) sinnt dt  (n=1,2,3,,)
   π

この、an,bnを「フーリエ級数」といいます。
フーリエ級数は、n→∽において収束します。

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偶関数・奇関数

f(x)が偶関数(f(x)=f(-x))のとき、フーリエ級数は、

an=  ∫(0→π)f(t) cos(nt) dt (n=1,2,,)
   π
bn=0

になります。一方、f(x)が奇関数(f(x)=-f(-x))の時は

an=0
bn=  ∫(0→π)f(t) sin(nt) dt (n=1,2,,)
   π

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複素数のフーリエ解析

f(x)=(-∞→∞)Cn exp(inx)

Cn=∫(-∞→∞) f(x) exp(-inx)dx
   2π

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4,直交関数

基本法則

関数の内積を(f,g)と定義すると

(f,g)=∫ab f g* dx

と定義します。これは、関数fと関数gの共役の積をaからbまで積分したものです。
だから、この結果が0になると、fとgは直交しているといいます。
この内積には次の特徴があります。

(f,g)=(g,f)*
(f,f)≧0
(f+g,h)=(f,h)+(g,h)
(cf,g)=c(f,g)   c:定数

また、

‖f‖=(f,f)1/2

これは、fのノルムといいます。

関数列 φ1,φ2,φ3,,,,φn が互いに直交するとき{φn}を
区間[a,b]における直交関数系といいます。さらにすべてのφnが
正規化(ノルムが1)されていると{φn}を正規直交関数系といいます。

●スツルム・リュービル

 d/p(x) dy\ +{q(x)+λr(x)}y=0
dx\   dx/

これを、スツルム・リュービルの微分方程式といいます。
ここで、境界条件を考える必要があって次のようにします。

α1y(a)+α2y'(a)
β1y(b)+β2y'(b)

λは固有値といい、そのときの解yをλに対応する固有関数といいます。

●ルジャンドル

 d/(1−x2dy\ + n(n+1)y=0
dx\      dx/

これを、ルジャンドルの微分方程式といいます。

●ロドリーグの公式

Pn(x)= 1   n (x2−1)n
    2n n! dxn

この公式からPo=1,P1=x,P2=1/2(3x2−1)・・・
と、求まります。これらは、すべて直交関数です。
そして、先ほどの公式をロドリーグの公式といいます。

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