1,ベクトル場 | 外積 三重積 ナブラー∇ grad,div,rot 極座標円柱座標とナブラー |
2,積分定理 | グリーンストークスの公式 ガウスの定理 |
3,複素数 | 複素関数 コーシー・リーマンの公式 分岐点 等角写像 複素数の積分 級数 留数 |
内積の計算は、高等学校でやったことと思いますがもう一度復習します。
a・b=│a││b│cosθ
このような計算をし計算結果はスカラー(実数)になります。 ところが外積は計算結果がベクトルになり向きがaとbのおのおのに垂直となります。 計算は大きさがだけで、向きは後から考える必要があります。
a×b=│a││b│sinθ
で計算できます。ベクトルの成分で外積を計算するときは、
(a,b,c)×(d,e,f)=(bf-ce,cd-af,ae-bd)
と、なります。
問題 a=(1,2,3) b=(−1,0,2)のとき a×bをもとめよ 解答 ベクトルを下のように、中、右、左、中の順に書く。 2 3 1 2 0 2 −1 0 次にたすき掛けをする。 2 3 1 2 0 2 −1 0 2・2-3・0 3(-1)-1・2 1・0-2(-1) 4 −5 2 よって、a×b=(4,−5,2)
外積と内積には次の公式があります。
a・(b×c)=b・(c×a)=c・(a×b) a×(b×c) = (a・c)b−(a・b)c (a×b)・(c×d)=(a・c)(b・d)−(a・d)(b・c)
ベクトルa,b,cに対し、
スカラー三重積 = a・(b×c)
ベクトル三重積 = a×(b×c) = (a・c)b−(a・b)c
というのがあります。スカラー三重積の絶対値は平行六面体の体積になります。
ナブラーは、
∇=/∂ i ∂ j ∂ k\ \∂x , ∂y , ∂z /
このように表されます。
また、ナブラーを2回作用したものをラプラシアンといいます。
△=∇∇=∂2 + ∂2 + ∂2 ∂x2 ∂y2 ∂z2
ナブラーには次の特徴があります。(ψはスカラー関数 特に後半の3つは重要)
∇・(ψa)=a・∇ψ+ψ∇・a ∇×(ψa)=a×∇ψ+ψ∇×a ∇・(a×b)=b・(∇×a)−a・(∇×b) ∇×(a×b)=(b・∇)a−(a・∇)b−(∇・a)b+(∇・b)a ∇(a・b)=(b・∇)a+(a・∇)b+(∇・a)b+(∇・b)a ∇×∇ψ=0 ∇・(∇×a)=0 ∇×(∇×a)=∇(∇・a)−(∇・∇a)
gradは、∇fや、grad f で表します。計算結果はベクトルになります。 これはx,y,z,平面の傾きのようなものです。
∇f = /∂f ∂f ∂f \ \∂x , ∂y , ∂z /
divは、∇aや、grad aで表します。計算結果はスカラーになります。
これは、ベクトルが発生するか(わき出るのか)どうかというのを判定するようなものです。
a = (A,B,C) のとき
∇a = ∂A + ∂B + ∂C ∂x ∂y ∂z
rotは、∇×aやrot aで表します。計算結果はベクトルになります。
これは、ベクトルが回転するときどこを軸として回転しているか判定するものです。
a = (A,B,C) のとき
∇×a = / ∂C - ∂B ∂A - ∂C ∂B - ∂A \ \ ∂y ∂z , ∂z ∂x , ∂x ∂y /
問題
f(x,y,z)=x2+y2+z2 のときgrad fを、また
a=(2axy , 2by2 , zx) のときdiv a , rot aを求めよ
解答
grad f = /∂f ∂f ∂f\ \∂x , ∂y , ∂z/ =(2x,2y,2z) div a = 2ay + 4by + x rot×a=(0-0 , 0-z , 0-2ax) = (0,-z,-2ax)
いままで、∇を(x,y,z)関数で微分するということはできた。
しかし、(r,θ,ψ)関数では、そのままだと微分できない。それは ∇の内部が(x,y,z)を用いているからである。
f(r,θ,ψ)という極座標
∇f=/∂f 1 ∂f 1 ∂f\ \∂r,r ∂θ,r sinθ ∂ψ/
f(p,θ,z)という円柱座標
∇f=/∂f 1 ∂f ∂f\ \∂p,p ∂θ,∂ψ/
F=(A,B,C)とすると F(r,θ,ψ)という極座標
∇・F= 1 ∂(r2A) + 1 ∂(sinθ B) + 1 ∂C r2 ∂r r sinθ ∂θ r sinθ∂ψ
F(p,θ,z)という円柱座標
∇・F= 1 ∂(pA) + 1 ∂B + ∂C p ∂p p ∂θ ∂ψ
以上の公式は物理ではよく使います。(特に極座標)
x,y平面において内部をDとし、そこで定義されたベクトルa(x,y)があるとする。
すると次のグリーンの公式が使える。
a = (a1,a2)として ∫( a1dx+a2dy ) = ∬ /- ∂a1 + ∂a2\dx dy \ ∂y ∂x /
グリーンの公式は平面上を考えるときに使うが、
これを3次元まで広げたのがストークスの公式である。
a = (a1,a2,a3)として ∫a・dr = ∬(∇×a・dS)
∬ a dS = ∫∬ ∇・a dv
左辺がある物体の表面の微少面積を積分した式です。
a dSは、任意のベクトルaと法線ベクトルの内積です。
右辺がある物体の内部についての発散を調べたものです。
∇・a が発散についての式で dv が微少体積を表します。
実数に虚数iを加えたのが複素数である( i2=−1)。この複素数を、
平面上にあらわそうとしたのが複素平面(ガウス平面)です。
今までのx軸に実数(Re),y軸に虚数(Im)をとる。
複素数は普通、z=x+yiや、z=r exp(iθ)であらわします。
上の式には、x=r cosθ , y=r
sinθという関係があります。
また、複素関数f(x)について逆関数g(x)が存在します。
関数f(z)が微分可能で、f’(z)が連続であれば、 f(z)は正則であるといいます。
複素関数のf(z)について、
f(z)=u(x,y)+iv(x,y) のとき ∂u=∂v ∂u=−∂v ∂x ∂y ,∂y ∂x ならば、f(z)は正則です。
t=f(Z) で定義される関数において
f(Z)が正則(コーシー・リーマンを満たす)とき
zを含む平面上でできる角と
f(z)を含む平面上でできる角が等しくなります。
正則関数の逆関数をg(z)とおき、それが微分できない点を分岐点といいます。
問題 log(z+1) の分岐点を求めよ 解答 d{log(z+1)}= 1 dz Z+1 これはZ=−1のとき、(分母)=0になり計算できないので Z=−1が分岐点
複素数の積分を行う場合f(z)にzをパラメーターtで微分したものを
かけ合わし、それを積分する。式にすると、
∫f(z)=∫(a→b) f(z)z′dt
問題 ∫(2z+1)dz C:z=t+it2 (0≦t≦1) 解答 dz=(1+2ti)dt ∫(2z+1)dz =∫(0→1){2(t+it2)+1}(1+2ti)dt =∫(0→1){(2t+1−4t3)+(6t2+2t)i}dt =1+3i
単一閉曲線上とその内部でf(z)がであるとき、 吐(z) dz=0 (コーシーの定理) f(Z0)= 1 f(Z) dz (コーシーの積分公式) 2πi z-z0 dz =2πi z−zo
最後の公式は、特異点zoを含むような積分をするときに用います。
問題 ∫c 3z+2 dz C:iを中心とした半径1の円 z2+1 解答 特異点は、i,−iだが、−iは円の外側なので、 (予式)=∫c 1 3z+2 dz z−i z+i =2πi 3i+2 =(2+3i)π i+i
テイラー展開は今まで通りで、xをzに変えて複素数の範囲で考えるだけです。
問題 f(z)= 1 をテイラー展開せよ 1−z 解答 f(n)(z)= n! (1−z)n+1 f(n)(0)=n! f(z)= 1 =1+z+z2+z3+・・・zn 1−z
テイラー展開は、特異点上では成り立たないが、ローラン展開は可能。
テイラー展開を −n次まで拡張したものと考えればいい。
f(z)= bn(z−a)n n:−∞→∞
f(z)をローラン展開したとき、(z+a)-1の項の 係数を、f(z)の留数という。
留数は、次のようにして求まる。
R(a)= 1 lim/dn-1{(z−a)n f(z)}\ (n−1)! z→a \dzn-1 /
∫cf(t)dt=2πi R(a)
問題 f(z)=(z+3)2 のとき z2(z2+1) fc(z)dz c:|z+i/2|=1 を求めよ 解答 特異点は、z=−i,+i,0 z=0のとき、上の公式でn=2なので計算するとR(0)=6 z=±iのときの同様にん=1なのでR(i)=−3+4i R(−i)=−3−4i cには特異点z=0,−iが含まれるので、 fc(z)dz=2πi{R(0)+R(−i)}=(8+6i)π