タイトル

物理数学T

タイトル

1,ベクトル解析 成分表記 ブラケット 関数の内積 シュワルツの不等式 Lie代数
2,行列 特殊な行列 トレース ローレンツ変換
3,複素解析 メビウス変換 ガウス積分 コーシーリーマンの方程式 解析接続
4,固有値方程式

物理数学は物理を数学的に解こうとします。

物理数学0では、数学の基礎。
物理数学1では、物理数学0の知識をもとにした高度な数学です。

レポート課題はこちら(3KB)です。

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1,ベクトル解析

成分表記

●ベクトル

いままでベクトルの成分などをx,y,zのような表現を使ってきましたが
一般にn個の成分を表記するときなどは不便です。
そこでベクトルXの成分を次のような表現で表します。

1  (=x)
x2  (=y)
x3  (=z)

こうすると累乗と混乱してしまうのですが文意から区別します。

●行列

行列などもこのような表現ができ、m×nの行列Aは

mn

と表せます。

●テンソル

行列に似たものにテンソルというものがあります。
m×nのテンソルは次のようになります。

mnmn

添え字が上付きか下付になるかは式によって任意に変えられます。

●計算

|y>=A|x>   −−−−−@

という式があり、それから|y>の成分、yiを求めるには
成分表記した式を使います。(aは行列Aの成分)

i=aijj     −−−−−A

@とAの関係は等価です。

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ブラケット

ベクトルは次のように表すことがあります。

      /v1\
|v> = | v2 |   「ケットベクトル」
      \v3/

<v| =(v1,v2,v3) 「ブラベクトル」

これらには次のような定理があります。

<v|v>=(v1)2 +(v2)2 +(v3)2

これは「ベクトルの内積」というものです。

<v|v>1/2=||v||

||v|| をノルムといって、ベクトルの長さに相当します。

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関数の内積

関数f(x)は無限に集まったベクトルとして考えることができます。
これをベクトル的に表すと

f(x)=<x|f>

と、定義できます。 <x| の正体は≦

<x|=(δ(1),δ(1.1),δ(1.2),δ(1.3),・・,δ(2),・・・)

のようなもので、実際は間隔は0に無限に近く成分は無限にあります。
|f> の正体も

|f>=(f(1),f(1.1),f(1.2),f(1.3),・・,f(2),・・・)T

のようなものです。したがってf(3)は

f(3)=(・・・0,0,1,0,0,・・・)(・・f(1),f(2),f(3),f(4),・・)
   =f(3)

ということになります。

2つの関数の内積は、

<f,g>=煤モ|x><x|g>=∫dxf*

これは、「応用数学」の内積と同じです。

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シュワルツの不等式

ベクトルX,Yについて次のような関係が成り立ちます。

|<X|Y>|≦||X||・||Y||
 ||X+Y|| ≦||X||+||Y||

この関係を「シュワルツの不等式」といいます。

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Lie代数

Lie代数は

Lx=i/y∂ −z∂ \
    \ ∂z  ∂y/

Ly=i/z∂ −x∂ \
    \ ∂x  ∂z/

Lz=i/x∂ −y∂ \
    \ ∂y  ∂x/

[Lx,Ly]=iLz
[Ly,Lz]=iLx
[Lz,Lx]=iLy

という関係があります。

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2,行列

特殊な行列

●直交行列

行列をAとすると、

TA=I    I:単位行列

これが成り立つ行列Aを直交行列といいます。

●エルミット行列

t=A

これが成り立つ行列Aをエルミット行列といいます。反対に

t=−A

は、反エルミット行列といいます。

●ユニタリー行列

tA=I

これが成り立つ行列Aをユニタリー行列といいます。

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ローレンツ変換

gATgA=I  I:単位行列

但し、/−1 0 0 0\
 g=|  0 1 0 0 |
   |  0 0 1 0 |
   \ 0 0 0 1/

これを満たすAをローレンツ変換行列といいます。
また、gを時空計量テンソルといいます。

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トレース

トレースは行列の対角成分の和です。記号は

Tr A

で、これで行列Aのトレースを表します。
トレースは先ほどのローレンツ変換に対して不変です。

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3,複素解析

メビウス変換

複素数の範囲で関数を考えると

f(z)=az+b g(z)=ez+f とするとき
     cz+d      gz+h

g・f(z)=Az+B という形式で表せます。
       Cz+D

今の変換をメビウス変換といいます。

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ガウス積分

-∞dx e−ax2=(π/a)1/2

これを2重責分でよく用いるガウス積分というものです。

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コーシーリーマンの方程式

関数f(z)が微分可能で、f’(z)が連続であれば、 f(z)は正則であるといいます。

複素関数のf(z)について、

f(z)=u(x,y)+iv(x,y) のとき

∂u∂v  ∂u=−∂v
∂x ∂y ,∂y  ∂x

ならば、f(z)は正則です。

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解析接続

●解析関数

複素関数で任意の点に置いて微分可能である関数を
「解析関数」(正則関数)といいます。

●解析接続

領域D1で解析関数になっているf(z)と
領域D2で解析関数になっているg(z)があったとします。

領域D1とD2には共通部分が含まれていて、おのおのをテーラー展開したときの
テーラー級数がすべて一致しているときは、領域D1∪D2で解析関数h(z)を
定義することができます。このような操作を「解析接続」といいます。

問題

解析関数
ln/1+iz\  と  arctan z
2i  \1−iz/

がz=±iを除いた点で解析接続できることを証明せよ

解答

両方とも微分すると
 1  
1+z2

よってテーラー展開すると両方とも同じテーラー級数になる。

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4,固有値方程式

行列をA、固有状態(固有ベクトル)をx、固有値をλとすると

Ax=λx

または

A|xj>=λ|xj>

という関係が成り立ちます。このとき

det(A−λI)=0      I:単位行列

が成り立つ必要があります。これを固有値方程式といいます。
もし、一つの固有値にn個の固有状態があると「縮退n」といいます。

葉

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