1,超伝導物質 |
2,マイスナー効果 |
3,高温超伝導 |
4,写真 |
超伝導状態の物理的な解説は物性物理基礎Uか、
物性ゼミ5をご覧ください。
超伝導状態は、電気抵抗が0で、完全反磁性(マイスナー効果)が現れている状態です。
抵抗が完全に0だと超伝導物質でリングを作った場合、そこに流れる電流は
永久に流れることができます。この電流を「永久電流」といいます。
金属などを低温にしていくと電気抵抗が小さくなります。
しかし、金、銀、銅などは絶対0度にしても残留抵抗があるために
完全に0になりません。それを 「常伝導物質」といいます。
それに対してたとえば水銀は、4.2Kにすると突然、抵抗が0になります。
それを「超伝導物質」といいます。
また、超伝導状態になる温度を「転移温度」といいます。
現在では、25種類の金属元素が超伝導物質であることがわかりました。
超伝導状態は超伝導物質の温度を下げるだけではなく
外部の磁場が一定の範囲内にある必要があります。
このとき、超伝導状態でいられる最大の磁場を「臨界磁場」といいます。
温度と外部磁場が一定の範囲内にあるときに超伝導状態が実現します。
そのため超電導磁石で磁場を作るときは、
あまり強くできないといった欠点があります。
しかし、通常の電磁石と比べると電力が1/10以下ですみ、
しかも3倍もつよい6.6テスラを作り出すことができます。
超伝導状態の性質として、電気抵抗が0であることのほかに
「マイスナー効果」というものがあります。
これは、外部の磁場をほとんどはじいてしまうというものです。
円形コイルに磁場をかけると、誘導電流というのが流れます。
これは、外部磁場の変化に逆らうように誘導電流が流れ
磁場の変化をさけようとするのですが常伝導物質だと
電流が熱エネルギーに代わってしまうので永久に流れることは
ありません。しかし、超伝導物質は永久に流れ続けます。
超伝導物質に流れる誘導電流は特別に
「マイスナー電流」ともいいます。
このマイスナー効果のため、超伝導物質は
磁力線をはじくような性質があるわけです。
超伝導状態は絶対0度に近い数Kのところでないと実現されませんでした。
この温度を実現するため高価な液体ヘリウムを使用する必要がありました。
しかし、最近になって100K程度でも超伝導効果を起こす物質が見つかりました。
この温度は安価(Heの1/10程度)な液体窒素を利用すれば実現できます。
高温超伝導物質はLa,Cu,Baを含む酸化物質で実現できるようになりました。
ここでは、YBa2Cu3O7-y という
超伝導物質の製法について紹介します。
以下のような材料を用意します。
・Y2O3 ・BaCO3 ・CuO
このように化学では比較的なじみの物質です。
これをY,Ba,Cuのモル比が1:2:3となるように計算して今の物質を混合します。
この混合は完璧に行う必要があるので最低1時間もかき混ぜる必要があります。
混合物質はアルミナのボートに押し固めます。
そして、炉で焼きます。温度変化は次のようになります。
室温 | |
↓ | 1h |
930度 | 20h |
↓ | 炉冷(自然冷却) |
室温 |
仮焼きした後の物質を取り出し電気抵抗を測定する。抵抗が5〜10Ωであれば成功。
これを押しつぶして粉末状にします。そしてペレット状にします。
それを、プレス機で150〜200気圧で5分間放置します。
その後に本焼きに入ります。
仮焼きのときと同じようにペレットをボートにセットします。
時間は次のようになります。
室温 | |
↓ | 1h |
930度 | 12h |
↓ | 15h |
400度 | 20h |
↓ | 炉冷(自然冷却) |
室温 |
これで超伝導物質が完成しているはずです。
これに液体窒素をかけて77k程度にしておきます。
磁石を上にのせると浮かび上がるはずです。
また、電気抵抗が0になっているはずです。
ここでは、強力な磁石の上に超伝導物質を置くと浮上する「マイスナー効果」
の様子を写真に収めました。
超伝導物質は、YBa2Cr3O7です。
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