1,ビッグバンの根拠 | |
2,現在からビッグバンへ |
ビッグバンとは宇宙はもともと1点の火の玉からはじまり、大爆発を起こして
現在の宇宙ができたというものです。
望遠鏡の発達で遠くの銀河が観測できるようになりました。
そこで、遠くの銀河の色を観測したところ赤っぽいことがわかりました。
これは、光のドップラー効果というもので
観測者から遠ざかるものは波長がのびるため赤く見え
近づくものは波長が縮んで青白く見えます。
これは、救急車が近づくときに音程が高くなり
遠くなるときに音程が低くなる音のドップラー効果ににています。
このことを利用して遠くの銀河の距離と遠ざかる速さを測定したところ
比例していることがわかりました。
1億光年で2000km/sという割合です。
これは、宇宙が膨張をしているという証拠です。
宇宙からの電波を観測したところ、全天から一定の電波が観測されました。
これは、背景放射といわれるものでビッグバンのエネルギーによるものです。
このエネルギーは波長1mmの光子で伝わってきました。
これを温度に換算すると2.7Kということがわかり、宇宙の温度は
2.7Kだということがわかりました。
最近、X線観測衛星が背景放射にむらがあることを観測しました。
これは宇宙が初めが点であったことに証拠でビッグバンがあったことを
確定的なものにしました。
それでは、現在からビッグバンのあった150億年前にさかのぼります。
ビッグバン後10万年がたつと宇宙の温度は1万度です。
この温度になると陽子と電子が組になって水素原子を作ります。
10万年より前だと陽子、電子など電荷を持つものが飛び回っている状態なので
光子は電荷を持つものと相互反応を起こしてしまいます。
そのため、光は直進できませんでした。
水素原子ができることによって電荷を持つものが飛び回らない状態になったので
光は直進できる状態になりました。
これを「宇宙の晴れ上がり」といいます。
ビッグバン後1分の世界は10億Kです。
この温度では陽子は核融合を起こして重水素、ヘリウムなどを作ります。
ただ、このときは原子核が生成されただけなので、原子核の回りには
電子はありません。
ビッグバン後1秒の世界は100億Kです。
宇宙の大きさは0.1光年(1兆km)です。
これより前の世界はハドロン、陽子、電子、中性子、光子、ニュートリノが
飛び回っている状態です。
ニュートリノは「弱い力」によってβ-を起こして中性子を陽子と電子に変えていきました。
そこため、ビッグバン10-2秒には陽子と中性子は同数だったのに
1秒後には3:1になりました。
ビッグバン後10-4秒の世界は1兆Kで、
宇宙の大きさは100億kmで太陽系程度です。
このころになるとクォーク間に強い力が働くためクォーク同士が
結合して陽子、電子、ハドロンなどの素粒子を生成します。
ビッグバン直後には高エネルギーのためエネルギーから粒子ができるという反応がおきていました。
このとき、粒子と反粒子は同じ割合でできますが、10億分の1の割合で
粒子の方が多くなっていました。
ビッグバン後10-3秒後には粒子と反粒子は反応してエネルギーに代わって
消滅しました。このときに残った粒子が現在の宇宙を形成しています。
反粒子でできた星の存在はないといわれています。
これは、反粒子でできた星からでてきた反粒子の宇宙線が観測されていないためです。
ビッグバンに近づいていくとエネルギーが大きくなり4つの力である
「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」が統一されていきます。
4つの力が統一されたところでは10次元の超ひもの世界になります。
現在ではこのうち6次元は観測できません。
いかに宇宙の時間と大きさ、力の関係を図で示します。
このように、ビッグバン直後は力が統一されていて
超ひもの世界になっていることがわかります。