1,微分方程式と可積分性 | 微分方程式の種類 ベルヌーイ型 Riccati型 |
2,二階微分方程式 | Liouvilleの解 Fuchs型方程式 Gaussの超幾何微分方程式 Sturm-Liouville型方程式 |
3,高階線形常微分方程式 | Wronskian 高階線形常微分方程式の解法 |
4,線形編微分方程式 | 変数変換法 変数分離法 |
5,Fourier変換 | Laplace変換 |
6,Green関数 | 摂動項 |
7,汎関数 | − |
xの関数はf(x) と表すことができましたが微分演算子も同じように
f(∂)と表すことができます。以下に例を示します。
例1 ∂(fg)=(∂f)g+f(∂g) 例2 A(∂) = a(x)∂ + b(x) B(∂) = c(x)∂ + d(x) のとき B(∂)A(∂)f(x) ={ca∂2 + (c(∂a)∂・・・)・・・)f
例2ではc∂(a∂)の計算をするときに∂が2つの関数にかかっているので
例1の定理を使います。
A(∂)f(x)=g(x)
このような形をしているものを「微分方程式」といいます。
A(∂)が1つの変数に対しての微分のときを「常微分方程式」
複数の変数に対する微分なら「編微分方程式」といいます。
A(∂)f(x)=0
先ほどの式でg(x)=0の場合を「斉次方程式」といい
解がf1(x)とf2(x)のとき
αf1(x)+βf2(x)
これも解になっています。(α,βは定数)
A(∂)f(x)≠0
g(x)≠0の場合を非斉次方程式といいます。このとき、
A(∂)f(x)=0
の解をf0
A(∂)f(x)=g(x)
このうち1つの解をf1(x)とすると
f1(x) + αf0(x)
これも解になっています。 このとき、f0(x)を「特殊解」、 f1(x)を「一般解」といいます。
g(x)がf(x)による場合、つまりg(x)がf(x)の関数になっているときは一般には解けません。
非線形方程式の解はcaosになってしまうからです。
非線形方程式は一般には解けないのですが次のような形の微分方程式は解くことができます。
v1df(x) + v0(x)f(x) = u(x)fn(x) dx y≡f1-n(x) とすると 1 v1 dy(x) + v0(x)y(x) = u(x) 1−n dx
このように、非線形と思われていたのが、実は、線形に変換できます。
(最後の式です。右辺がy(x)に依存していません。)
先ほどのベルヌーイ型でn=2にして、ω(x)を足したものです。
−v1df(x) + v0(x)f(x) = u(x)f2(x) + ω(x) dx y≡ 1 とすると f(x)−f0(x) v1 dy(x) + {v0(x)−2u(x)f0(x)}y(x) = u(x) dx
同様に、線形の微分方程式になっています。
非線形な二階微分方程式を解く方法は一般には知られていない。
ここでは、線形二階微分方程式について説明します。
df + P(z)df + Q(z)f =0 dz dz
このとき、f1を1つの解として
f(z)=f1g(z)
とおくとg(z)について解が求まって
f(z)=f1(z)∫zoz dz' {f1(z')}-2 exp(-∫z2z'dz"P(z"))
ただし、z’とz”は任意の点です。 また、Pは先ほどの線形二階微分方程式のP(z)のことです。
領域D上の点z0を除いた近傍で二階微分方程式が正則で、その解がすべて
z0を確定特異点とするとき、その方程式はz0で「Fuchs型」であるといいます。
さきほどの2階微分方程式のP,Qを
P(z)=(n=-1→∞)pn(z−z0)n Q(z)=(n=-2→∞)qn(z−z0)n
で定義します。また、そのときの方程式の解をf1,f2とすると
f1(z)=(z−z0)s1 (n=0→∞)an(z−z0)n f2(z)=(z−z0)s2 (n=0→∞)bn(z−z0)n
とおきます。このとき、次のような関係がなりたっています。
/D(s1) 0 0 ・ 0 ・\ /a0\ | d1(s1) D(s1+1) 0 ・ 0 ・ || a1 | | d2(s1) d1(s1+1) D(s1+2) ・ 0 ・ || ・ |=0 | ・ ・ ・ ・ 0 ・ || ・ | | dn(s1) dn(s1+1) dn(s1+2) ・ D(s1+n)・ || an | \ ・ ・ ・ ・ ・ ・/ \ ・/
ただし、
D(s)=s(s−1)+p-1s+q-2 dn(s)=pn-1s+qn-2
以上から解が求まります。
df + P(z)df + Q(z)f =0 dz dz
に対して
P(z)=1−α−α’ + 1−β−β’ + 1−γ−γ’ z−a z−b z−c Q(z)= 1 × /αα’(a−b)(a−c) + (z−a)(z−b)(z−c) \ z−a ββ’(b−c)(b−a) + γγ’(c−a)(c−b)\ z−b z−c / α+α’+β+β’+γ+γ’=1
のとき確定特異点はz=a,b,cのみになります。
さて、ここで
a=0 b=∞ c=1
とおきます。すると微分方程式の形は
z(1−z)d2f + {γ−(α+β+1)z}df − αβf=0 dz2 dz
この式を「Gaussの微分方程式」か「超幾何微分方程式」といいます。
解については一つをf1とすると、それをF(α,β,γ;z)で表して次のようになります。
f1(z)=F(α,β,γ;z) = Γ(γ) (n=0→∞)Γ(α+n)Γ(β+n) Γ(α)Γ(β) n!Γ(γ+n)
また、もう1つの解f2は
f2(z)=z1-γ F(α−γ+1,β−γ+1,2−γ;z)
なお、Γはガンマ関数です。
二階微分方程式には次のようなものがあります。
これらはまとめてSturm-Liouville型方程式といいます。
(1−x2)2d2Pn(x) −2xdPn + n(n+1)Pn(x)=0 dx2 dx Pn=F(−n,n+1,1;(1−z)/2)
(1−x2)2d2Pun(x) −2xdPun + /n(n+1)− u \Pun(x)=0 dx2 dx \ 1−x2/ Pun=exp(iπu)/1+z\u/2 × F(−n,n+1,1−u;(1−z)/2) Γ(1-u)\1−z/
微分方程式で
A(∂)f(x)=g(x)
のA(∂)は
A(∂)=(n=0→n)vk(x) ∂k
でした。nは1までのときを「1階微分」、n=2もときは「2階微分」でしたが
nが3を越えると「高階微分方程式」になります。
A(∂)f(x)=g(x)
でg(x)=0のとき、今の微分方程式はn個の解を持ちます。
解をそれぞれynとおき、次のような行列式を作ります。
|y1 y1(1) ・ ・ | W(y1,y2,・・yn)=|y2 ・ ・ ・ | | ・ ・ ・ ・ | |yn ・ ・ yn(n-1)|
これを「Wronskian」といいます。
もし、この行列式が0になっていれば解は線形独立になっています。
B(∂)A(∂)f(x)=g(x)
このような形になっているときは
B(∂)h(∂)=g(x)
を初めに計算して、次に
A(∂)h(∂)=h(x)
を計算することによって求まります。
線形微分方程式で独立変数が複数個存在する場合、いくつかの解法があります。
Rfxx + Sfxy + Tfyy + Pfx + Qfy +Uf =g
のとき、適当な変数rstpqを用いて
rfζζ + sfζη + tfηη + pfζ + qfη +Uf =g
に変換できます。
このとき、r〜qの変数は任意にとることができるので適当な置き換えをすることによって
式が解けるようになります。
A(∂)f(x,y)=0
のとき、A(∂)とf(x,y)が次のようにxの関数とそれ以外の変数に分離できるとします。
A(∂) =Ax(∂x)+B(∂) f(x,y)=X(x)h(y)
このとき、先ほどの式は
1 {Ax(∂x)X(x)}+ 1 {B(∂)h(y)}=0 X(x) h(y)
に分離できます。
このとき各項が定数になっていて、その定数の合計が0になっている必要があるので
Ax(∂x)X(x)= λX(x) B(∂)h(y)=−λX(x)
ただし、λは定数です。
演算子A(d/dx)f(x)に対して次のような変換ができます。
_ A(d/dx)f(x)= 1 A(d/dx)∫f(k) exp(ikx)dk √2π
このような変換を「Fourier(フーリエ)変換」といいます。
^ f=∫0∞ f(x) exp(-kx)dx
このようにf(x)を変換したときf^はfの「Laplace(ラプラス)変換」といいます。
Green関数は次のように定義します。
(A−λ)Gλ(x,y) = δ(x-y) Gλ(x,y) = Gλ(y,x)
ただし、Aは演算子、λは定数です。
Green関数の正体は次の通りです。
_ Gλ(x,y)=φn(x) φn(x) λn−λ
このGreen関数の応用例ですが
(A−λ)f(x)=ρ(x)
という非斉次方程式があった場合、
f(x)=∫dyGλ(x,y)ρ(y)
といった具合にすぐ求めることができます。
このとき、Gλは波の伝搬を意味しています。
従って、それを積分するということは波を重ね合わせているということです。
Green関数は次のように摂動項を使って表せます。
Gλ(x,y)=狽fλ(n)(x,y)
このn次の摂動項は次のようになります。
Gλ(n)(x,y) =∫dx1 ∫dx2・・∫dxn Gλ(0)V(x1) Gλ(1)V(x2)・・Gλ(n)V(xn)
汎関数は、関数を変数の如く扱う関数です。 たとえばf(x)とg(x)があったとき、
g[f(x)]
このようなとき、関数gが汎関数になっています。