1,デジタルIC |
2,ゲート |
ここからは、デジタルICの解説に入りたいと思います。
デジタルICは、信号の処理を1か0で行うというのは聞いたことがあるでしょう。
信号は全て0か1で行うので、中間値というものがないのです。
入力端子についても同じで、0か1のどちらかしか入力できません。
無理に中間の値を入れようとしても、IC内部で0か1のどちらかにされます。
デジタルICのピンは、多くのの場合
の3種類に分けることができます。
そのためデジタルICを考える場合、何か入力したら
何かが出力されるという、ブラックボックスモデルを考えるといいでしょう。
デジタルICは、多くがCMOS(シ−モス)型になっています。
これは、IC内部の素子がn型とp型の2種類のFET素子を用いて
構成されていることを示しています。特徴として
があげられます。
このほかにもPMOS、NMOSというものがあるのですが、
FET素子1つで構成されているので、消費電力が大きくなってしまいます。
デジタルICは、CMOSが多いのですが、一方でTTL型というのもあります。
CMOSは、FETで素子を構成しているのに対し、TTLはトランジスタで
構成しています。特徴として、次のものがあげられます。
ICピン番号の数え方ICからは、多数のピンが出ていて、それぞれのピンには 数え方は、ICのくびれた部分or丸いくぼみのある部分を このICの場合、「+」が1番、「−」が8番、「NC」が16番になります。 |
前節ではデジタルICにはCMOSとTTLの2種類があることを
解説しましたが、ここからはCMOSに限って解説をしていきます。
ゲートICは、デジタルICの中でも簡単なものの部類に入ります。
入力端子にある組み合わせの0/1信号を入れることで、決められた
出力が出てきます。このような関係を表にしたものを
「真理値表」といいます。
入力 | 出力 |
0 | 0 |
1 | 1 |
バッファー回路は、0が入力されたら0,1なら1を返します。
これだと、このICの役割がないと思われるかもしれません。
4050 | Iout=2.5mA Iin=6mA |
|
4010 | Iout=0.5mA Iin=4mA |
Ioutは、出力が1の時に外部に流すことができる電流の最大値です。
逆にIinは、出力が0の時に外部から流れ込むことができる電流の最大値です。
一般的に、Vin>Ioutの関係があります。
4010のICには、+電源が2種類あります。
これは、デジタル信号のレベルが異なっている回路でも
その電位差を解消させることができます。
これにより、入力側の0,1の信号レベルと出力側のレベルが違っても
信号のやりとりができます。
たとえば、入力側の信号レベルが0−1V、出力側が0−5Vのとき、
Vinに1V、Voutに5Vを加えれば、電位差の問題を解消できます。
NC説明図に「NC」というものがありますが、これは「No Connect」という |
入力 | 出力 | |
0 | 1 | |
1 | 0 |
NOT回路は、0を入力すると1,1を入力すると0を返します。
つまり、入力された信号を反対にするICです。
NOT回路を積んだICは、次の3種類があります。
4069 | ||
4049 | Iout=2.5mA Iin=6mA |
|
4009 | Iout=0.5mA Iin=4mA |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |
AND回路は、入力信号の両方が全て1にならないと出力が1にならない回路です。
一般的なAND回路は2入力なのですが、複数入力のAND回路でも、
「入力が全て1の場合のみ出力が1」という原理は同じです。
4081 | Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
|
4073 | ||
4082 |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 1 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 0 |
NAND回路は、入力信号の両方が全て1にならないと出力が0にならない回路です。
これは、先ほどのAND回路に、出力を反転させるNOT回路をつけたのと同じです。
4011 | Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
|
4023 | ||
4012 | ||
4068 |
4068は、8入力のNAND回路です。
一部メーカのICでは、1ピンにAND回路としての出力があります。
AND出力あり | |
富士通 三菱 |
MB84068B M4068B |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 1 |
OR回路は、入力信号のどれか1つでも1になると出力が1になる回路です。
AND回路では、「すべて1の場合」でしたが、OR回路では「どれか1つでも1の場合」
という違いがあります。
4071 | Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
|
4075 | ||
4072 |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 1 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 0 |
OR回路は、入力信号のどれか1つでも1になると出力が1になる回路です。
AND回路では、「すべて1の場合」でしたが、OR回路では
「どれか1つでも1の場合」という違いがあります。
4001 | Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
|
4025 | ||
4002 | ||
4078 |
4078は、8入力のNOR回路です。
一部メーカのICでは、1ピンにOR回路としての出力があります。
OR出力あり | なし | ||
? 東芝 沖電気 富士通 三菱 |
F4078B TC4078BP MSM4078B MB84078B M4078B |
モトローラ NEC 日立 松下 |
MC14078B uPD4078B HD1478B MN4078B |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 0 |
Ex.OR回路(エクスクルーシブ・オアー)は、お互いの入力信号が
異なっているときに1、同じである場合に0を出力します。
4030 4070 |
Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
入力 | 出力 | |
0 | 0 | 1 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |
Ex.NOR回路は、お互いの入力信号が
異なっているときに0、同じである場合に1を出力します。
4077 | Iout=0.8mA Iin=0.8mA |
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