電子工作

                    部品編3

1,デジタルIC
2,ゲート

1,デジタル

ここからは、デジタルICの解説に入りたいと思います。

 

デジタルICは0と1だけ

デジタルICは、信号の処理を1か0で行うというのは聞いたことがあるでしょう。
信号は全て0か1で行うので、中間値というものがないのです。
入力端子についても同じで、0か1のどちらかしか入力できません。
無理に中間の値を入れようとしても、IC内部で0か1のどちらかにされます。

 

デジタルICは、入力と出力

デジタルICのピンは、多くのの場合

  1. 入力端子
  2. 出力端子
  3. 電源

の3種類に分けることができます。
そのためデジタルICを考える場合、何か入力したら
何かが出力されるという、ブラックボックスモデルを考えるといいでしょう。

 

CMOS

デジタルICは、多くがCMOS(シ−モス)型になっています。
これは、IC内部の素子がn型とp型の2種類のFET素子を用いて
構成されていることを示しています。特徴として

  1. 高速なスイッチングが可能
  2. 超低消費電力
  3. 入力抵抗が非常に大きい
  4. 出力電流が小さい
  5. 静電気に弱い

があげられます。
このほかにもPMOS、NMOSというものがあるのですが、
FET素子1つで構成されているので、消費電力が大きくなってしまいます。

 

TTL

デジタルICは、CMOSが多いのですが、一方でTTL型というのもあります。
CMOSは、FETで素子を構成しているのに対し、TTLはトランジスタで
構成しています。特徴として、次のものがあげられます。

  1. CMOSより高速なスイッチングが可能
  2. 消費電力が多い
  3. 入力抵抗が多少小さい
  4. 出力電流が大きい
  5. 静電気に強い

 

ICピン番号の数え方

ICからは、多数のピンが出ていて、それぞれのピンには
番号がふられています。

数え方は、ICのくびれた部分or丸いくぼみのある部分を
左側になるように置き、左下から反時計回りにカウントしていきます。

ピン番号の数え方

このICの場合、「+」が1番、「−」が8番、「NC」が16番になります。

 


2,ゲート

前節ではデジタルICにはCMOSとTTLの2種類があることを
解説しましたが、ここからはCMOSに限って解説をしていきます。

ゲートICは、デジタルICの中でも簡単なものの部類に入ります。
入力端子にある組み合わせの0/1信号を入れることで、決められた
出力が出てきます。このような関係を表にしたものを
「真理値表」といいます。

 

●バッファ

入力 出力

バッファー回路は、0が入力されたら0,1なら1を返します。
これだと、このICの役割がないと思われるかもしれません。

4050 4050 Iout=2.5mA
Iin=6mA
4010 4010 Iout=0.5mA
Iin=4mA

Ioutは、出力が1の時に外部に流すことができる電流の最大値です。
逆にIinは、出力が0の時に外部から流れ込むことができる電流の最大値です。
一般的に、Vin>Ioutの関係があります。

4010のICには、+電源が2種類あります。
これは、デジタル信号のレベルが異なっている回路でも
その電位差を解消させることができます。
これにより、入力側の0,1の信号レベルと出力側のレベルが違っても
信号のやりとりができます。
たとえば、入力側の信号レベルが0−1V、出力側が0−5Vのとき、
Vinに1V、Voutに5Vを加えれば、電位差の問題を解消できます。

NC

説明図に「NC」というものがありますが、これは「No Connect」という
意味で、電気的にどこにも接続されていない飾りのピンです。

 

●NOT

NOT 入力 出力

NOT回路は、0を入力すると1,1を入力すると0を返します。
つまり、入力された信号を反対にするICです。

NOT回路を積んだICは、次の3種類があります。

4069 mos4069.gif (1640 バイト)
4049 mos4049.gif (1893 バイト) Iout=2.5mA
Iin=6mA
4009 mos4009.gif (1938 バイト) Iout=0.5mA
Iin=4mA

 

●AND

入力 出力

AND回路は、入力信号の両方が全て1にならないと出力が1にならない回路です。
一般的なAND回路は2入力なのですが、複数入力のAND回路でも、
「入力が全て1の場合のみ出力が1」という原理は同じです。

 

4081 4081 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA

4073 4073
4082 4082

 

●NAND

入力 出力

NAND回路は、入力信号の両方が全て1にならないと出力が0にならない回路です。
これは、先ほどのAND回路に、出力を反転させるNOT回路をつけたのと同じです。

4011 4011 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA

4023 4023
4012 4012
4068 4068

4068は、8入力のNAND回路です。
一部メーカのICでは、1ピンにAND回路としての出力があります。

AND出力あり
富士通
三菱
MB84068B
M4068B

 

●OR

入力 出力

OR回路は、入力信号のどれか1つでも1になると出力が1になる回路です。
AND回路では、「すべて1の場合」でしたが、OR回路では「どれか1つでも1の場合」
という違いがあります。

4071 4071 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA

4075 4075
4072 4072

 

●NOR

入力 出力

OR回路は、入力信号のどれか1つでも1になると出力が1になる回路です。
AND回路では、「すべて1の場合」でしたが、OR回路では
「どれか1つでも1の場合」という違いがあります。

4001 4001 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA

4025 4025
4002 4002
4078 mos4078.gif (1746 バイト)

4078は、8入力のNOR回路です。
一部メーカのICでは、1ピンにOR回路としての出力があります。

OR出力あり なし

東芝
沖電気
富士通
三菱
F4078B
TC4078BP
MSM4078B
MB84078B
M4078B
モトローラ
NEC
日立
松下
MC14078B
uPD4078B
HD1478B
MN4078B

 

●Ex.OR

入力 出力

Ex.OR回路(エクスクルーシブ・オアー)は、お互いの入力信号が
異なっているときに1、同じである場合に0を出力します。

4030

4070

4030,4070 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA

 

●Ex.NOR

入力 出力

Ex.NOR回路は、お互いの入力信号が
異なっているときに0、同じである場合に1を出力します。

4077 4077 Iout=0.8mA

Iin=0.8mA


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