タイトル

電磁気学T

タイトル

1,静電場 電磁気の基本的な諸公式   コンデンサー  ガウスの定理
2,導体 導体 双極子 鏡像法
3,誘導体 誘導体 屈折
4,電流 オームの法則 定常電流 準定常電流

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1,静電場

電磁気の基本的な諸公式

次のものは電磁気で暗黙の領域といわれていることです。
E[V/m]は電場 φ[V]は電位をあらわします。
高校時代に使った電気的な係数kは使いません。kは次のように 表されます。

k= 1       εo:真空中の誘電率
  4πεo

まず、高校時代の公式を復習します。

F= 1   qQ    q,Q:電荷
  4πεo  r2

F=qE        q:電荷  E:電界

U=CV21Q2QV  U:エネルギー
  2    2C  2    C:コンデンサーの容量

それでは、大学の基本的な公式を紹介します。

刄モ=−∫Eds

これは、力学で学習した「ポテンシャル」の式とそっくりです。
これは、強さEの電場をdsだけすんだときの電位の変化の式です。
マイナス符号に注意してください。

●点電荷

点電荷は、体積を持たない点のような電荷です。

φ=   Q     E=   Q  
   4πεor      4πεor2

●線電荷

無限に伸びている導体の線上に一様に分布している電荷です。
1m中に帯電している電荷をρとします。

E=  ρ           ρ:電荷の線密度
  2πεor         r:線からの距離

これをrで積分すればφに関する式になります。

●平面板の電荷

無限に広がっている導体の面上に一様に分布している電荷です。
1u中に帯電している電荷をσとします。

(1)電場が面の両方から生じている場合

   E=
     εo

(2)電場が面の片側から生じている場合(コンデンサーなど)

   E= Q 
     2εo

コンデンサーは内部にのみ電場があり、外側にはありません。
これは、2つの板の電荷によって打ち消しあうためです。

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コンデンサー

コンデンサーは、

C=
  V

で定義されます。
これを少し応用すると、次の式ができます

(1)平面同士が向かい合っている場合

C=εoS     S:重なっている部分の面積
   d      d:距離

コンデンサーがこれにあたります。

(2)単独で球が存在する場合(中は空洞でもいい)

C=4πεoa     a:球の半径

このようになります。

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ガウスの定理

数学でもやると思うのですが、次の公式を覚えてください。

ガウスの定理

左辺がある物体の表面の微少面積を積分した式です。
a dSは、任意のベクトルaと法線ベクトルの内積です。
右辺がある物体の内部についての発散を調べたものです。
∇・a が発散についての式で dv が微少体積を表します。

問題
半径aoの球の内部にqoの電荷がある。
球の表面の電界をEoとしてガウスの式を完成せよ。

解答
ガウスの式の左辺は、∬ a dS = ∬ E dS = 4πr2 E
      右辺は、∫∬ ∇・a dV = qo
よって、4πr2 E = qo

ガウスの定理を少し変形させると次の式ができます。

E・dS = q     E:電界 q:電荷

これは電荷の場合、 は、電界Eとすると、ガウスの定理の
右辺の積分結果は電荷になるためです。

問題
中心にqの電荷がある半径rの球の表面の電界をもとめよ

解答
球の表面はどこも一定の電界なので
∬E・dS=4πr2E = q なので
E=  q  
  4πr2

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2,導体

導体

導体の表面上の特徴は、

  1. 電気線が表面に対し垂直になっている
  2. 等電位面が表面に対し水平になっている
  3. 導体内には、電界が存在しない

2は、もし、等電位面が水平になっていないと、何もない導体上を
電流が流れだしてしまうのでおかしいことになります。
よって、3のように導体内に電界も存在しません。

●先がとがった針に関する式

これは、針が電位φを持っていて針の先を半径Rの円と近似すると

E=φ     E:電界
  R

ここでもとまったEは針の先端部の電界です。
これから、針か尖っているほど(Rが小さいほど)電界が大きくなり
放電しやすくなります。
だから避雷針は尖っていないといけません。

●電界中に金属を入れた場合

双極子2 電界中に金属球を置くと周辺の電界が影響します。
どのように影響するかというと、先ほどの
金属の特徴を満たすような変化が起きます。
つまり、等電位面は球に対して平行になっています。
(交わることはない)

これは球の中に仮想の双極子があると仮定し
球の表面上がどこも一定になるように
双極子の大きさを調整すれば計算できます。
右の図を見てください。赤い線が球表面に相当します。
球の内部には後で説明する双極子の形になっています。
外側は本来縦に走っている等電位面が
広げられているのがよくわかります。
※中央を縦に通る線は不安定な線で
実際にはまっすぐになることはありません。

●マクスウェル応力

コンデンサー中では電気力線は縦になっています。
そのとき、縦方向には縮もうとする力が働き、
横方向には広がろうとする力が働きます。
これらをマクスウェル応力といいます。

詳しくは電磁気学U(13KB)の「マクスウェル応力」をご覧ください。

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双極子

双極子とは、符号の違う2つの電荷、q,−qが無限に近い状態をいいます。
ここで、双極子モーメントPを次のように定義します。

P=2lq  l:二電荷の距離

これは、よく用います。
双極子 また、双極子の電位は

φ=  pr       r:双極子からの位置
  4πεo r3

または、

φ= pcosθ      r:双極子からの位置
  4πεo r2     θ:pとrベクトルのなす角

Pベクトルの向きは負電荷から正電荷の向きになります。
右の図は、双極子の等電位面です。電荷は左右に並んで存在します。

双極子が電場中にあると回転します。その回転モーメントは

P×E

であらわせます。

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鏡像法

鏡像法 真空中に電荷があり、平面上の導体によってどのように
なるかを考えるとき右図のように導体中に
仮想の電荷(水色の部分)を考えます。
仮想の電荷は、電荷が正反対で
位置は導体表面に対し線対称になっています。

このように仮想の電荷を導入すると導体表面は
対象性から電位が0,電気力線は垂直に交わるので
導体の条件をみたします。このように考えることを鏡像法といいます。

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3,誘導体

誘導体

誘導体は導体の性質が弱くなったようなものです。その内部では誘電率が変化します。
今までの誘電率は真空中だったのでεoでしたが
誘電体の内部ではε(相対誘電率)とすると次の関係があります。

ε=εo(1+χe)   χe:電気感受率

電気感受率は、外部電場に対しどれだけ誘電分極を起こすかという率です。

●電気分極

電場の中に誘電体を入れると内部では電気力線が弱まります。
これは、電場と反対の方に電気分極ができ、少し打ち消すからです。
電気分極はであらわします。

=χe εo    E:外部電場

なおの向きは−から+です、そしてEの向きは+から−です。
向きが逆になっているので気をつけてください。
いろいろな物質のχeは次の通りです。

酸素 4.9×10-4 窒素 5.5×10-4
79.4 ロシェル塩 4000

酸素や窒素などは電場をかけてもあまり変化がありません。
ロシェル塩などは電場をかけなくてもPが存在します。このようなものを強誘電体と言います。

●電束密度

電束密度Dは次のように定義されます。

=ε=εo(1+χe)=εo

誘電体中での電磁的な現象は、真空中で用いた誘電率εoをεに変えるだけです。

屈折

異なる誘電率での屈折 誘電率の異なる物体に電場をかけたとき、電気力線は屈折します。
今、右図のように誘電率ε1とε2の誘電体(ε1>ε2)に電気力線が
入ったときの屈折の様子を示しています。
すると、以下の公式が成り立ちます。

E1 sinθ1 = E2 sinθ2

D1 cosθ1 = D2 cosθ2

tanθ2ε2
tanθ1  ε1

つまりε1>ε2のとき、電束密度は図からもわかるように1の領域の方が
密集しているためD1>D2になります。また、電場の強さはE1<E2になります。

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4,電流

オームの法則

オームの法則は中学校でも習ったと思います。

V=RI

さて、Rは

R=ρl     ρ:抵抗率    l:導体の長さ
   S      S:導体の断面積

導体,半導体,絶縁体の抵抗率は以下の通りです。

1.7×10-8 ニクロム 1.1×10-6
ケイ素 10-5〜104 ガラス 108〜1015

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定常電流

定常電流とは時間によらず一定である電流のことです。
これは、今までの高校時代の知識で解けると思います。
ここでは、一般化されたオームの法則を解説します。

E=ρi    E:電界 ρ:比抵抗 i:電流

これは、電場の強さは比抵抗と電流に比例するということです。

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準定常電流

準定常電流とは、交流と定常電流の中間のもので一時的に電流が変化するが、
ある値に収束する。

  +-----------+
  l           l
コンデンサー      抵抗
  l           l
  +-----------+

いま、上の回路で、コンデンサーにQの電荷を与えた後の変化を考える。
電流に関する方程式をたてると、

dQ
dt RC

Q=A ept   p=−
              RC

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