タイトル

素粒子の世界1

タイトル

1,原子 構造 周期律表 電子軌道
2,素粒子 ハドロン レプトン ゲージ粒子

「クォークとレプトン」「4つの力」「反粒子」については続編の素粒子2(18KB)をご覧ください。

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1,原子

構造

原子を構成しているのは、以下の3つの粒子です。

陽子 中性子 電子

陽子は+eの電荷を、電子は−eの電荷をもっています。中性子は電荷がありません。

原子の構造 原子核から分子の関係

原子は、原子核と、電子で構成されています。(左図)
電子は、原子核のまわりを回っています。
原子核は、陽子と中性子で構成されています。中性子は陽子同士をくっつける働きが
あるといわれ、だいたい陽子より中性子の数が同じか多くなっています。
(ただし、水素原子核は陽子1個に対して中性子はありませんが)

この原子というのは、単独で存在していると不安定なことが多いです。
そこで原子同士が複数個つながって、お互いの電子を共有すると
安定になります。このように、原子が複数個つながったものを分子といいます。(右図)

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周期律表

化学では、元素Xを

nm

これは、質量数m,陽子の数がnで、中性子の数はm−nで表せます。
陽子と中性子の数が同じものが多いです。

以下が周期律表です。

11   24He
36Li 49Be 511 612 714 816 919 1020Ne
1123Na 1224Mg 1327Al 1428Si 1531 1632 1735Cl 1840Ar
1939 2040Ca  

実は、「同位体」といって、中性子の数だけが違うものがあります。
ここでは、数の多い方を表しています。

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電子軌道

通常、原子核の周りには電子があります。
これは、内側からK殻,L殻,M殻・・・というように
Kから始まるアルファベット順になっています。

電子の配列

K,L,M殻にはそれぞれ2,8,8個(d軌道を含めると18個)の電子が入ります。
また、電子のとる軌道があり、s軌道、p軌道、d軌道・・といったものがあります。
K殻にあって、s軌道をとっている電子を「1s軌道」といったりもします。
上のイラストは模式的に平面に描いたものです。実際はs軌道は球状に
p軌道は8の字軌道をとります。

電子の軌道は2つの電子が対になり、パウリの排他原理よりスピンは
互いに反転する必要があります。そのため球状のs軌道は1組しかとれません。
また、p軌道は「8の字軌道」がx,y,z方向にとれるので3組存在します。

一般に軌道と組の数は

an=2n+1

という関係があります。s軌道がn=1、p軌道がn=2、d軌道がn=3に対応します。

軌道 電子の数 合計
K殻 1s軌道 2個 2個
L殻 2s軌道 2個 8個
2p軌道 6個
M殻 3s軌道 2個 18個
3p軌道 6個
3d軌道 10個

また、s軌道とp軌道が混成してsp軌道というものを作りこともあります。

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2,素粒子

素粒子は、約200種類以上が確認されています。実は、陽子、中性子、電子も素粒子の1つです。
素粒子はほかにも光子、重力子、ニュートリノなど
力も素粒子が関係しているということがわかりました。

素粒子は以下の分類ができます。

素粒子 ゲージ粒子 自然界の力の元 光子 重力子 グルーオン etc
レプトン 電子の仲間 ニュートリノ 電子 etc 大きさがない
ハドロン 大多数の粒子 中性子 陽子 など多数 大きさがある

ニュートリノは核反応を起こしたときによく発生します。
太陽や銀河系からも多数のニュートリノが発生します。特に超新星爆発のときは
おびただしいニュートリノが発生します。(これをニュートリノシャワーといいます)
ニュートリノは地球を1000億個並べても通過してしまうほど反応性がありません。
つい最近、ニュートリノにも質量があることがわかりました。

中間子は陽子の間を行き来することによって互いの陽子をくっつける働きがあります。
これは、湯川博士が提唱したものです。

レプトンは大きさがないので「究極の粒子」ということができます。
それに対してハドロンは、陽子が10-15[m]程度の大きさを持っているので
さらに内部構造があることが予想されます。(これが後述するクォークで説明されます)

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ハドロン

ハドロンは、内部構造があって、クォーク(Quark)とグルーオンで構成されています。

素粒子の構造

図のように、クォーク同士はグルーオンによってつながっています。

たとえば陽子はアップクォーク2個とダインクォーク1個で構成されています。そのため

 +  −  =+1
3   3   3

で、正の+1価の電荷を持つことがわかります。
ちなみに中性子はダウンクォーク2つにアップクォーク1つです。

クォークには反クォークというものがあります。
反クォークの有無によってハドロンを次のように分類できます。

    内容
ハドロン 重量子(バリオン) クォークが3つ 陽子 中性子
中間子 クォーク+反クォーク π粒子

クォークには6種類あります。

名称 電荷 種類
アップクォーク 2e/3
ダウンクォーク −e/3
チャームクォーク 2e/3
ストレンジクォーク −e/3
トップクォーク 2e/3
ボトムクォーク −e/3

色が3色ありますが、例えば同じトップクォークでも
3種類あります。そこで、便宜的に色を付けました。
赤・緑・青 の3色です。
なぜ、色を付けたかというと素粒子の中には同じ種類のクォークを3つ持つものが現れました。
クォークはフェルミ粒子なので同じものは
同じ状態に入れないというパウリの排他原理に反しています。
そこで、色を付けて区別しました。
「強い力」を生み出しているグルーオンはこのカラー荷に結びつくといわれているので
クォークのみに強い力が働くことが説明できます。

反クォークというものも存在します。(これは反粒子のことです)
これは、反赤・反緑・反青 と表現します。

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レプトン

レプトンは電子などの仲間で大きさのない点状粒子です。
レプトンには次の6種類があります。

名称 電荷
電子 −e
μ粒子 −e
τ粒子 −e
電子ニュートリノ
μニュートリノ
τニュートリノ

ここで、レプトンは電子、μ粒子、τ粒子というグループと
ニュートリノのグループに分けることができます。

そして、電子と電子ニュートリノ、μ粒子とμニュートリノ、τ粒子とτニュートリノは
互いに対になっていて素粒子反応に関係しています。

たとえばπ中間子の崩壊の場合

π+ → μ+ + νμ
ただし νμ・・・μニュートリノ
    μ+・・・反μ粒子

このように素粒子反応では互いに密接な関係があり、今の例でも
μ粒子ができた際にμニュートリノも発生しました。

レプトンにはクォークのときと同じように反粒子というものがあります。
電子の反粒子は「陽電子」、μ粒子は「反μ粒子」といった具合です。

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ゲージ粒子

自然界には4つの力があります。
この力の根元は4つのゲージ粒子にあるといわれています。

強さ[N] 影響範囲[m] ゲージ粒子
重力 10-40 無限大 グラビトン(重力子)
電磁気力 10-2 無限大 フォトン(光子)
強い力 100 10-15 グルーオン
弱い力 10-5 10-18 ウィークボゾン(W±,Z0

日常目にすることができるのは重力と電磁気力です。
しかし原子核の陽子、中性子の内部まで調べるとそのほかにも
「強い力」と「弱い力」というものがあります。
「強い力」はクオーク同士を結びつける力で非常に強いものです。
力の働く方向は1次元で、ある距離を超えると突然力が働かなくなるので
ゴムひものような性質があります。

弱い力は原子核崩壊に関わるもので、ニュートリノを発生させたりします。

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